対談詳細

艶もたけなわ
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岸見一郎 哲学者

2017年1月 8日号

阿木燿子の艶もたけなわ 136 

 累計145万部の大ヒットとなったロングセラー『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)をきっかけに、広く知られるようになった「アドラー心理学」。共著者の岸見一郎さんは、そのアドラー心理学の第一人者。今や恋愛や親子関係の悩み相談などで引っ張りだこだ。そんな岸見さんに阿木さんが、自身の悩みを打ち明け、カウンセリングを体験しました。

 ◇一人でも多くの人に、アドラーを知ってもらいたいと思っています。

 ◇躾もあるし、親が子供と完全な横の関係を築くのって、難しくないですか?

 ◇子供は知識と経験がないだけで、大人と同じ人格を持った"独立した個"なんです。

阿木 あのー、突然こんなことを申し上げて何ですが、私、一昨日から先生のご著書『嫌われる勇気』を読み直して、猛反省をしてお
りました。初めて読んだ時に、主人や周囲に支配的な態度を取るのは絶対やめようと誓ったのに、あれから3年、まったくそれが守られていなくて。
岸見 初版が出て、すぐ読んでくださったんですね。
阿木 はい。本に書かれていた「タスクの分離」が全然できていませんでした。タスクって、人それぞれが持っている人生の課題なんですよね。主人には主人の、私には私のタスクがあるのに、相手の領域に入り込んで、つい余計なお世話を焼いてしまう。人ってなぜ、心に強く決めたことが守れないんでしょう。
岸見 まあ、そんなに反省なさらなくても(笑)。自分の性格を変えるのは、お稽古(けいこ)事と同じで、未熟なところ、練習不足の箇所を知るところから始まるので。それに、もうすでにできてることだって、あるはずですよ。
阿木 そうでしょうか。だといいんですが(笑)。私が最初にこの本を手にした時感じたのは、夫婦といえども権力闘争なんだな、と。無意識下で、どちらが優位に立つかで争っている。
岸見 自分の意見が正しいと思うと争いが起こるんです。私の言ってることは間違いないと確信した途端、相手を屈服させようとしますよね。
阿木 本当にそうですね。たとえば、私が雪だと思っているのに、そうじゃないと言われると、つい言葉を荒らげてしまう。
岸見 時には譲ってもいいのです。それは雪じゃない、雨だと言われても、大した問題じゃないと。
阿木 身近な人に、私たちは高圧的な態度を、取りがちですよね。主人とのことで言うと、一回、形作られた関係性って、なかなか変えられない。我が家は私が一方的に怒っていることが多くて、主人は後が面倒と思っているのか、私の言葉に逆らわない。で、ガミガミ言った後に私、後悔するんです。「あー、また偉そうなことを言っちゃった」って。こんなことを続けていたら二人共進歩しないし、成長しない。日々、自分を変えたいなとは思いつつ、なかなかこれが。あっ、先生、すいません。初(しょ)っ端(ぱな)から私、カウンセリングをお願いしているみたいで。先生が穏やかな笑みを浮かべ、頷(うなず)いてくださるので、今日は夫婦の秘密を告白してしまいそうです(笑)。
岸見 いいですよ。僕はカウンセラーなので(笑)。まあ、答えになっているかどうかは分かりませんが、人間、いつだって変わることはできます。ただ変えた瞬間、何が起こるか分からないので、怖いのです。

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