対談詳細

艶もたけなわ
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宮本亜門 演出家

2016年11月20日号

阿木燿子の艶もたけなわ 129 

 ミュージカルにオペラ、伝統芸能とのコラボまで、ジャンルにとらわれない演出家として第一線を疾走する宮本亜門さん。舞台への情熱は、ますます燃え上がるばかりで、数年先まで公演が決まっているのだそう。そんな宮本さんを突き動かす原動力とは――。阿木さんも魅了された不思議なスピリチュアル体験談も併せてお楽しみください。

 ◇演劇の原点に立ち返りたいという思いが、僕の中で色濃くなっている。
 ◇オペラ、ミュージカル、伝統芸能と、宮本さんのフィールドは広がる一方!
 ◇今後は『古事記』にも取り組みたい。やりたいことがいっぱいあるので。

阿木 今日、こうして宮本さんにお目にかからせていただくので、昨夜、代表作のお一つ、「金閣寺」のDVDを拝見したんです。
宮本 それは、ありがとうございます。
阿木 私、2012年に赤坂のACTシアターで再演した際、客席で観てるんです。で、その時、これはどういうことだろう、と思うシーンがいくつかあって。まず、足利義満が建立した金閣寺を、人で表現する必然性が今ひとつ見えなかったんですが、昨夜、画面を観ながら、なるほど、と納得しました。それにしても、建物を人に置き換えるなんて、何と大胆な発想(笑)。 
宮本 三島由紀夫さんの小説『金閣寺』では、金閣寺が主人公・溝口の心象風景として描かれ、単に建物ではなく自立した意思を持った、彼の内面を投影する存在として描かれているんです。なので舞台版も、血の通った人に演じてほしかった。ボイスパフォーマーの山川冬樹さんとの出会いがあったからこそ、その構想を実現させることができました。
阿木 山川さんは、ホーメイ(注)という、倍音を響かせる歌唱法の第一人者でいらっしゃる。閻魔(えんま)大王が怒り狂っているような声から、清らかな天使の声まで、見事に使い分けられるんですよね。
宮本 あの歌声がないと、僕の意図する「金閣寺」は成立しないので、キャスティングの際には、最初に声をかけさせてもらいました。「金閣寺役をやっていただけませんか?」と、初対面でお願いしたら、「えっ、建物の役ですか?」って驚いてましたね(笑)。
阿木 それはそうでしょう。めったにない役ですもの(笑)。
宮本 僕も、そんなオファーをしたのは初めてです(笑)。
阿木 V6の森田剛さんが、主演の溝口役でお出になっていたからでしょうか、客席に若い方たちの姿が目に付きましたね。感受性が豊かな時期に、演劇に親しむっていいことですよね。
宮本 もともと僕が『金閣寺』を舞台化しようと思ったのは、ウェブ上で大勢の若者が、この本に対する感想を寄せていたからなんです。
阿木 今の若い人たちにも、『金閣寺』が読まれているって、うれしいですね。
宮本 高校生や大学生が辞書を片手に、難しい漢字と格闘しながら、必死に読んだのでしょう、「主人公の溝口は、今の自分たちと同じだ」って綴(つづ)っているんですね。それで、僕が高校生の時に読んで感じた興奮を、彼らと共有できるんじゃないかと。三島由紀夫という文豪の代表作だからではなく、時代を超えた普遍的なテーマを扱った作品として、若い人たちにも感じてほしかった。
阿木 それを伺って、セットを教室風にした理由がわかりました。最初から、若い観客を想定してのことだったんですね。
宮本 教室は社会の中での自己の在り方を学ぶ所、そこに主人公・溝口は反発する。物語の流れを象徴的に描くためです。

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