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究極の激突対談 第1弾 近藤誠×東京女子医科大がんセンター長・林和彦 がんは「手術すべき」か「放置すべき」か

2016年4月24日号

「無症状なら、がんは放置すべき」と主張する近藤誠医師。数々の著書が大反響を呼ぶ一方で、他の医師は"放置否定"本を出版。しかし、実は近藤医師との直接対決は数少ない。今回、大学病院で長年がんを治療する医師が、近藤医師との「がん治療」議論に臨んだ。
(司会/ジャーナリスト・森省歩)

 近藤誠医師(67)は、がんの「標準治療」を批判し続けてきた。『医者に殺されない47の心得』(アスコム)など、著書はいずれもベストセラーで、手にした人も多いだろう。
 2014年、近藤医師は慶應義塾大医学部放射線治療科を定年退職し、現在は「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」(東京都渋谷区)で患者や家族の相談に応えている。
 近藤医師の「がん放置」理論は、こうだ。

 食道がん、胃がん、乳がんなど、塊を形成する固形がんには「本物のがん」と「がんもどき」の2種類しかなく、体内にがんが発生した時点で患者の運命は決まっている。
 検診や人間ドックで見つかったがんのほとんどが転移のない「がんもどき」で生命を脅かさない。がん発生初期から転移能力を備える「本物のがん」は、発見時にすでに転移しているので治療は無駄。治療しないほうが、穏やかに長生きできる。「苦痛」の多くは、がんそのものではなく、手術や抗がん剤などの治療によって起こるからだ。

「検診は無意味」「苦痛等の症状がない限り、がんは放置するのが一番」という近藤医師の主張は、ここ20年以上一貫している。
 当然これに異を唱える専門家は多いが、近藤医師の理論に疑問を呈し、批判していても、直接対談には難色を示す医師が大多数だ。
 そのなかで今回、対談を受けて立ったのは東京女子医科大がんセンター長の林和彦医師(55)。林医師は、千葉大医学部卒業後、東京女子医科大消化器外科に入局。食道外科医、内視鏡医、化学療法医、緩和ケア医を渡り歩いてきた異色の経歴を持つ。さらに、父親をがんで亡くし、乳がん患者であった妻には自ら抗がん剤を投与したという、まさにがん治療現場を公私ともに知り尽くしているといえる。
 本誌は、近藤医師と林医師に「手術」「抗がん剤」「緩和ケア」「検診」の4テーマについて、およそ3時間30分に及ぶ議論を交わしてもらった。司会者は、自身も大腸がん手術を経験したジャーナリストの森省歩(せいほ)氏(55)。3週にわたってお届けする。

 ◇「私は不誠実な外科医でした」

―林先生は外科医から腫瘍内科医に転じたと聞いています。なぜメスを捨てるに至ったのでしょうか。
 がんを治すなら手術と、当時"神の手"と言われた故羽生富士夫先生のもとに入局しました。羽生先生は普通なら焦るような局面でも、素早く処理をして、術後もとてもきれいだった。しかし、その地点にたどりついたとしても、治らない人がいる。私は手先が器用で努力もしましたから、手術はよく任せてもらえました。でも、心のどこかで「この人、治らないな」と思いながら手術をしていた。不誠実な外科医でした。
―羽生先生は、スキルス胃がんで亡くなったアナウンサー・逸見政孝さんの執刀医としても有名です。近藤先生は、逸見さんの晴恵夫人とも対談し、無謀な手術だったと批判しています。
近藤 逸見さんへの手術はするべきではなかった。当時、林さんを含めた、羽生さんの部下たちはどんな思いで見ていたんですか。
 逸見さんが末期であったにもかかわらず、羽生先生が手術をしてしまった理由は、正直私にもわかりません。私なら、おそらくやらない手術ではある。「なんとかなる」という思いがあったのかもしれません。
―まず林先生が近藤先生に質問があるようですね。
 近藤先生はなぜ20年以上も「近藤誠」であり続けたのでしょう。発言に本心でない部分を感じます。日本のがん医療体制を変えたいという思いから、あえて極論に走っているのですか。
近藤 すべて本心です。僕が到達した考えと、日本の標準医療が大きくズレているから「極論」と言われるのでしょうが、自分としては正論。僕にとって大切なのは「真実に近づく」こと。「医者であるとともに学者」でありたいと思います。患者さんにより良い医療を提供するために勉強し、新しいことを知った時には世間に発表したくなる。それで世の中が変わるかどうかは、情報を受け取った社会側の問題でしょう。

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