対談詳細

艶もたけなわ
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石田衣良 作家

2016年4月17日号

阿木さんの対談はこの4月で3年目に突入し、連載100回の節目を迎えました。今回のゲストは、直木賞作家の石田衣良さん。
『池袋ウエストゲートパーク』をはじめ、数々の作品がドラマ化、映画化されているヒットメーカーです。
石田作品に共通している、低くて優しい視点のヒミツに阿木さんが迫りました。お楽しみください。

  •  学歴を重視しているけど、いい加減違う尺度が必要だって気づいたほうがいい。
  •  大人の女性は元気なのに、なぜ、男性の方はショボンとしているんでしょう?
  •  おカネがなくなったからですよ(笑)。貧乏になったとたん、男の人は元気がなくなった。

阿木 石田さんは、来年でデビュー20周年を迎えられますよね。その間、ずっと第一線で活躍なさっていらっしゃいますが。
石田 でも、本の世界は一段と厳しくなっています。たとえば音楽業界は、CDの売れ行きが最盛期の3割ほどまでに落ちこみましたよね。しかし、ライブと物販という"活路"を見いだしたでしょう。音楽関係者と話すと、「出版業界は10年遅れで音楽を追っているけど、ライブや物販のような"次の柱"を探さないまま進んでいる」って、皆さん、おっしゃいます。
阿木 確かに、音楽の世界はCDが売れなくなりました。でも逆に、ライブにお客さんが足を運んでくださるようになって。出版界にはそういった現象はないんですか?
石田 こちらから仕掛けないとね。その一つとして、ぼくは昨年、メルマガ((注1))を始めたんです。隔週でお届けして課金する仕組みなんですが、何かしら考えて動かないといけない時代ですよねぇ。
阿木 でも、そういう新しい試みって、大先生たちから「ちょっと違うんじゃないか」とか言われそうですが?
石田 いや、もうそんなことは言ってられないでしょう。本の販売部数は全盛期だった1990年代半ばから20年たって4割がた落ちこんでいるんですから。リーマン・ショック以降、筆一本で食べられる物書きは半分くらいになったんではないでしょうか。将来、出版社は、芸能プロダクションのように作家とファンをつなぐ手立てを考えたり、新たな動きを探さないとダメでしょうね。
阿木 活字離れが著しいっていわれて久しいですが、やはり若い人たちって?
石田 最近、大学生協の調べ((注2))で、大学生の一日の読書時間は「ゼロ」が45%だったんです。
阿木 えっ! 半数近くが、まったく?
石田 もう、まったくです。その代わり、スマホを見てゲームをしたり、ニュースサイトを見たりする時間が2時間半です。それだけじゃなくって、実は中高年の男性はもっと読んでいない。
阿木 そういえば、電車の中で本を読んでいるサラリーマンを、見かけなくなりましたね。
石田 仕事でいっぱいいっぱい。
阿木 その点、石田さんは小さいころから本がお好きで、夢は作家でしたよね。これまでどれくらい、お読みになったんですか?
石田 そんなではないですよ。とくに、自分で本を書いていると他の人のを読む時間がなくなってしまって。この20年はぜんぜん読めてませんね。
阿木 でも、蓄積は相当おありでしょう?
石田 そうですね。高校時代はかなり読みこんでいました。
阿木 1日3冊ペースとか?
石田 最高で2・8冊ですね。でも、あのころは毎日、お茶の水の本屋さんに通って、岩波文庫の薄いのとかを選んで買っていましたから。とにかく冊数を稼がなくちゃって(笑)。
阿木 先ほどの若者の本離れの話は、まさにネット社会になって失われたものですよね。本を読まない弊害がどれほどなのか、わかっていないからでしょうね。心を豊かにするには、実際に活字の中に浸らないと。ネットでは得られないものがあるのにね。

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