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艶もたけなわ
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大杉漣 俳優

2016年3月27日号

阿木燿子の艶もたけなわ 連載97

 強面のやくざ、娘を心配する優しい父親、チャラい中年男、陰湿な精神異常者、高潔な学園長......。さまざまな役柄をこなす"カメレオン俳優"大杉漣さんが、今度は老作家を演じるという。その演技力の秘密とともに、陰で支える奥様のことにグイグイ突っ込む阿木さんに、大杉さんはタジタジ。意外な大杉さんの一面をお楽しみください。

 ◇僕は小っちゃなギャンブラーですけど、僕に懸けたカミさんは大ギャンブラー(笑)。
 ◇沈黙劇の経験が後に「300の顔」を持つ大杉さんの基礎になっているんでしょうね。
 ◇北野武監督の「後は黙ってていいよ」って言葉に、勇気をいただきました。


阿木 大杉さんって、さまざまな役柄を演じ分けられるので、"300の顔を持つ男"と呼ばれていらっしゃるんですよね。今度公開される映画「蜜のあわれ」では老作家。これまで作家の役って、なさったことがおありなんですか?
大杉 以前、廣木隆一監督の作品「不貞の季節((注1))」で、SM作家の団鬼六さんの役をやらせていただきました。
阿木 団さんって、裸の女性を縛ったりする官能小説の大家?(笑)
大杉 ええ、その道では有名な方ではあります(笑)。でも、映画で描かれているのは、縛りに開眼なさる以前の話で、団さんの半自叙伝的な内容でした。
阿木 今回の石井岳龍監督は、以前から大杉さんとお仕事をご一緒になさりたかったとかで、熱いラブコールに応えてのご出演ですね。
大杉 いつ抱かれてもいいような感じです(笑)。俳優ってそういうところが、あるんですよ。
阿木 この人と心中してもいいと思えるぐらい沸点が高くなってこそ、お互いにいいお仕事ができる感じなんでしょうね。
大杉 おっしゃる通りです。三十数年前、「狂い咲きサンダーロード((注2))」を作られたころから石井監督のことは意識していて。それが、ようやく石井組の現場に立てた。うれしかったですね。初めて石井監督に抱かれたわけですから。でも、ただ抱かれるだけじゃなくて、僕も抱いてやる、っていう気持ちで臨みました(笑)。
阿木 俳優さんと監督さんって、男性同士でも、恋愛に近い感情を抱くんでしょうね。
大杉 そんな「意識の交感」を持つことが、撮影現場には必要なんですね。
阿木 そうやって出来上がったのが、老作家と金魚の恋という、とても不思議な作品ですね。
大杉 原作の室生犀星さんは、「ふるさとは遠きにありて思ふもの」という小学校の教科書に載っているマジメな作家さんのイメージですよね。それが、こんなエロチックな小説を書かれていたとは、この映画の話をいただくまで知りませんでした。しかも、70歳のときの作品なんです。男はいくつになっても、妄想をしているものなんですね。
阿木 ステキですね。灰になるまで情熱を絶やさないなんて。また、ラブシーンも濃密で(笑)。
大杉 僕は今回、受け身でして。金魚であり赤井赤子役の二階堂ふみさんにリードされて、抱かれる側でした(笑)。
阿木 大杉さんは、ラブシーンはお得意?(笑)
大杉 それこそ、僕の映画デビューはポルノ映画で、監督は高橋伴明さんでした。
阿木 あ、そうでしたね! そういえば主人(宇崎竜童氏)が、同じく高橋監督の「TATTOO〈刺青〉あり((注3))」に出演の際には、大変失礼しましたと、申し上げてくれって言っておりました。
大杉 あの映画は宇崎さんが主演で、音楽も担当されてましたよね。僕は、「ハッシャバイ・シーガル」という曲が大好きで、今でもクルマの中で聴いているんです。
阿木 ありがとうございます。
大杉 僕は、フェリー発着場にいる酔っ払いで、海に突き落とされる役だったんですが、本番前、竜童さんが「加減するから大丈夫だよ」と、言ってくれていたんです。ところが、いざ本番になったら手加減なしに、ドンと(笑)。

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