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艶もたけなわ
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水谷修 教育評論家

2015年12月13日号

阿木燿子の艶もたけなわ 連載83


 夜間に若者たちで賑わう繁華街をパトロールすることから「夜回り先生」と呼ばれている水谷修さん。子どもたちのいじめや自殺、薬物問題がニュースになると、必ず新聞やテレビでお見かけします。どうしてそこまで子どものために奔走し続けられるのか。水谷さんの原点から最新エピソードまで、じっくり伺いました。お楽しみください。

 ◇今は「夜回り」っていうより"夜集め"。皆、ぞろぞろと集まってきちゃう(笑)
 ◇それにしても、先生の夜回りのなさり方は、まさに体を張っていらっしゃる。
 ◇僕には守るものがない。唯一怖いのは、子どもたちに「嘘つき」と言われることだけ。


阿木 先日、小学生が大麻を吸ったという事件(注1)がありましたよね。薬物使用の低年齢化がここまできていたかと思うとショックで......。
水谷 知らないのは、大人だけです。たとえば、この赤坂(東京都港区)でも若者たちはどこに行けばクスリが入手できるのか、知っています。
阿木 今や薬物汚染は身近な問題なんですね。
水谷 薬物と闘ってる僕たちは、負け続けです。ある程度密輸や密売は抑えられていますが、実は裾野は広がり続けています。アメリカと日本、薬物で危ないのはどちらの国だと思いますか?
阿木 常識的に、アメリカのほうが蔓延(まんえん)しているのでは、と思いますが......。
水谷 確かにアメリカでは、2人に1人が大麻を吸ったことがあり、4人に1人がコカインを使ったことがあるといわれています。ところが、日本のほうがはるかに危ない。
阿木 それは取り締まりが行き届いていないってことですか?
水谷 そうではないんです。アメリカは階層社会で、低い階層の部分に広く行き渡っています。仕事がない移民など、明日が見えない人たちに蔓延(はびこ)っている。一方でWASP(ワスプ)、ホワイト・アングロサクソン・プロテスタントなどの上流階級は、汚染されていません。
阿木 日本はそれほどはっきりした階級社会ではない分......。
水谷 はい。6~7年前、大学生たちが連続で逮捕されましたよね。大学名を挙げれば、早稲田も慶應もいたし、東大もいた、僕の母校の上智もいた、法政もいた。
阿木 皆、一流大学の学生たちですよね。
水谷 学歴も親の収入差も関係なく広まっている。だから、危ない。
阿木 麻薬の恐ろしさは大学生なら当然、知識があるはずなのに......。薬物依存の自助グループに入って更生しかかると、逆に罪悪感で自殺してしまう人もいるそうですね。
水谷 います。薬物の世界は1対3対3対3です。1割が死にます。3割は刑務所か精神病院。もう3割は行方不明。
阿木 行方不明って?
水谷 どこかに行って、また使ってるってことです。残りの3割が我々と一緒にやめ続けている。
阿木 3割でも立ち直ってくれる人がいるのは、救いですね。
水谷 薬物って、被害者がいない犯罪なんです。薬物を使って事故を起こしたとか、人を刺してしまったという場合には被害者が出るけど、基本的に自己完結型の犯罪。うっかり手にしてしまっても、さほど罪悪感がなく、気づいたら抜けなくなってしまうんです。
阿木 自分自身が被害者であり、加害者でもあるんですね。覚醒剤や大麻が危険だということは十分理解できますが、市販薬でも使い方によっては同じような現象が起こるそうですね。
水谷 むしろ、薬物より危険です。市販薬の中には、麻薬をそのまま使っているものがあるからです。だから処方に従って飲む分には問題ありませんが、何十錠と飲めば致死量にもなるし、依存症にもなります。
阿木 知らないって、本当に怖いですね。それにしても、先生の夜回りのなさり方は、まさに体を張っていらっしゃる。

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