対談詳細

艶もたけなわ
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乙武洋匡 作家

2015年11月 1日号

阿木燿子の艶もたけなわ 連載77

 大ベストセラー『五体不満足』の著者、乙武さんはサブキャスターやスポーツライター、そして小学校教師やテレビコメンテーターなどさまざまな活動で注目を集めてきました。しかし、順風満帆ではない、人知れぬ苦労や孤独を抱えたこともありました。阿木さんはそんな乙武さんを支えてきた家族の秘話を聞き出しました。

 ◇妻が子どもとの距離を縮め絆を築いていく。焦燥感と孤独感に襲われました。
 ◇乙武さんの未来像に、「政治」は視野に入っていらっしゃるか否か(笑)。
 ◇政治にこだわらず、旗が立っていないところになるべく数多く旗を立てていきたい。


阿木 今年の夏、ヨーロッパを訪れたそうですが、いかがでしたか。
乙武 今回、4カ国を回った中で、3カ国は旧共産圏。最後はオーストリアのウィーンだったので、コントラストがはっきり感じられ、すごくおもしろかったですね。
阿木 街並みといった外観ですか。
乙武 いや、街並みはそこまで変わらないのですが、接客が顕著でしたね。旧共産圏の人たちはそんなに愛想もないし、あまり無駄なことはしたくない。日本の"お役所仕事"に近かったんですね。
阿木 旅行といえば、大学生のとき、予備校時代の友人4人とアメリカに行かれたんですよね。乙武さんはその都度、心許せる友人が身近にいて、親密な関係を築いていらっしゃる。その秘訣(ひけつ)って?
乙武 私の場合、人との付き合い方の根底にあるものがスタートから皆さんと違っているんですね。トイレにも一人で行けないし、お風呂も自分では入れない。自分ではできないことが数多くあるので、旅行など長時間一緒の場合は大変です。
阿木 旅先でも友人はごく自然なこととして乙武さんをサポートなさる。そういう環境がおのずから整うことが乙武さんの魅力のなせる業かなという気がするんですが。
乙武 でも、一方的にやってもらい続ける関係って、受ける側も精神的に負担になってしまいます。
阿木 確かに、それって辛(つら)い。
乙武 だから私はこう思うんです。物理的に手伝ってもらうのはしょうがない。だったら、違う部分で自分が相手にできることを探す、これが私のスタンスです。
阿木 メンタルな意味でですか?
乙武 不思議と小学生のころから、よく相談されるタイプだったんですよね。そういうときに、自分が役に立てればとは思っています。
阿木 対等の関係であってこそ、真の友情は生まれる。さらに、乙武さんは「自己肯定感」という言葉をよく使ってらっしゃいますよね。「自分は大切な存在」だと認め、自身を愛する気持ちの自己肯定感があってこそ、相手に対しても同じ思いを抱けるということだと思うんですが。
乙武 阿木さんのおっしゃるとおりだと思うんですよね。「相手の立場に立つ」「相手の気持ちを理解する」って、口で言うのはカンタンですけど、実はなかなか難しい。自分のことが認められない人は、目の前の相手を認めることもすごく難しいと思うんです。自分に自信がない人ほど、相手のあら探しをして「この人にもダメなところがある」って思いがちかなと。
阿木 本当。人の欠点をあげつらねている間は、何も生まれません。
乙武 私には、精神的に未熟なところ、人間的に欠けているところがたくさんあります。でも、両親が育んでくれた自己肯定感のお陰で"自分は自分でいいじゃないか"とプラス思考になれる。だから、相手にたとえイヤな面が見えていたとしても、まだ私には見えていない、いい面があるはずだと自然と思えるんです。
阿木 基本的に人間好きでいらっしゃる。そんな乙武さんの人生って、神がかったタイミングでいろんなことが起こりますよね。たとえば学生時代、入学当初に入った英語サークルを2カ月で辞め、自分にしかできないことは何かって、考え出したら出会いがあって、社会貢献にたどり着いた。そして、具体的には「ごみゼロ」の早稲田のまちづくりのお手伝いができた。2011年の東日本大震災では、被災地でできることを模索していたら、宮城県の球場で楽天イーグルスの始球式((注1))のオファーがきた。いつも絶妙なタイミングで次にやるべきことが用意されている、そんな感じですよね。

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