対談詳細

艶もたけなわ
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姜尚中 政治学者

2015年8月23日号

阿木燿子の艶もたけなわ 連載68

戦後70年の節目の年に、今国会では安全保障関連法案が審議されている。果たして、この国はどこへ向かおうとしているのか。
歴史学者で、メディアでは物静かに正鵠を射る発言で知られる姜尚中さんを前に阿木さんは、日ごろ積み重なった憂国の思いをあらわにしました。平和を願う2人の熱い思いをお届けします。

 ◇安倍さんとゴルフで勝負してみたい。負けたら言うことを聞くというルールで(笑)。
 ◇日本の間違いは、戦争責任をうやむやにし、今まできてしまったことだと思うんです。
 ◇清算しなければいけないものを置き去りにしてきた。そのツケを払うべき時代になった。


阿木 お目にかかれてうれしいです。私は、深夜に放映しているテレビ番組「朝まで生テレビ!」(以下「朝生」)をよく観ていました。姜さんは番組に何度もご出演なさっていらっしゃいますよね。
姜 その話は、恥ずかしくて穴に入りたくなります(苦笑)。
阿木 ご出演される皆さんは、かなりの論客揃(ぞろ)い。ものすごい勢いでご自身の主張を展開される方ばかりですよね。その中で姜さんは物静かな語り口で、声を荒らげることなく理路整然とお話しになる。周りの論客との落差がとても際立っていました。
姜 昔の話をしますと、僕は高校時代、野球部に在籍していました。その頃、僕はチームメートをからかったとき、吃音(きつおん)になったんです。例えば、アメリカが「メリカ」というように、最初の母音が出てこないようになりました。以降、ゆっくり話すようになったんです。蓄音機に例えれば、回転数を遅くしないとレコードがかけられないような(笑)。そのまま大人になり、人とは違うテンポになってしまったんです。テレビでは、緊張も重なって、よけい違うテンポになってしまったんではないでしょうか。
阿木 そうとは知らず、周囲に影響されない落ち着いた方だな、と感じておりました(笑)。朝生では、強引に人の話に割って入らないと存在価値がない感じでしょう? でも、姜さんがお話しになると皆さんはスッと一瞬引かれる。我こそは、と主張するよりマイペースで平常心のほうが周囲の注目を集められるんだな、これってすごい技術かも、と感じ入っておりました。
姜 とんでもないです(笑)。喋(しやべ)るのが苦手だったので、出演するに当たって誰が何を話すのか、よく聞くことにしたんです。そうすることによって、品定めではありませんが、大勢いる論客の中で誰が一番手強(てごわ)いのかを見きわめ、その人とどう向き合うのかを考えてから、話すようにしていました。
阿木 ターゲットを決めて、静観しつつ最後にズドン! という戦略ですね。
姜 一通り皆さん話すと、誰がこの議論の場を"支配"していくのか、どの論点で物事が進行していくのかが見えてきます。その人とどう対峙(たいじ)し、渡り合っていくかが自分の中の焦点になる、そう考えていました。
阿木 朝生ではテーマによって外国人も出演されますが、ほとんどは日本人ですよね。その点、姜さんは日本と韓国の両方を見渡すポジションにいらっしゃる。韓国は一番距離が近い隣国でありながら、近年ますますいがみ合う要素が増え、緊張が続いていますよね。でも多くの日本人が、これで良いはずがないと思っていると思うんです。
姜 おっしゃる通り、残念な状況が続いていますね。僕は日韓両国については、常に意識しています。僕にとって日本は"育ての親"であり、韓国はある意味"生みの親"です。どちらも大切な国で、例えば、韓国に行った際、日本の悪口を言われると激高することがあります。その逆もまた、あります。だから僕は、両国の間に入って何とか"鳥もち"みたいに引っつけたいと思っているんです。

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