対談詳細

艶もたけなわ
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川原尚行 医師、認定NGO法人「ロシナンテス」代表

2015年7月26日号

阿木燿子の艶もたけなわ 連載64

 赴任したスーダンの現状を目にし、外務省医務官の地位をかなぐり捨てて、現地での医療活動に携わった川原さん。九州男児でラガーマンの熱い血潮が今なおたぎっているようです。家族と多くの仲間に支えられ、スーダンや被災地・東北の支援を続ける川原さんの素顔、そして日本には馴染みの薄いスーダン社会の現状に、阿木さんが迫ります。

 ◇「援助」と「支配」は表裏。日本とスーダンは学び合う関係になればいい。
 ◇本の最後に「ありがとう、佳代さん。愛しています」って。あれは女性に効きますね。
 ◇(嫁と)高1で知り合ってもう35年。よう付き合ってくれてます、こんな私に(笑)。


阿木 アッサラーム・アライクム(アラビア語で「こんにちは」の意味)。発音、これでよかったでしょうか。
川原 今、阿木さんがおっしゃったのは、「あなた方に平安を」という内容なんですが、僕からはお返しに「あなた方にも」ということで、ワ・ライコム・サッラーム。
阿木 やはり、発音が全然違いますね(苦笑)。川原さんは元々、外科医ですよね。それが外務省医務官としてスーダン(注1)に赴任なさり、その後肩書を捨てられ、スーダンの無医村地域で医療活動を行うためにNPO団体ロシナンテスを立ち上げられた。普通で考えると、とても勇気のいることだと思うのですが、現地の患者さんとのコミュニケーションはどうしていらっしゃるんですか?
川原 使いこなすほどではありませんが、基本的な「どこ痛いんですか?」「いつからですか?」というアラビア語はわかっているんで、ほぼ大丈夫です。
阿木 スーダンって、日本の約5倍の国土だそうですね。それだけ広いと地域によってかなり言語が違うのでは?
川原 そうですね。日本で例えれば、鹿児島弁とか東北の方の言葉とか。地元の人同士の話はまったく理解できないことが、多々あります。しかし僕と話す場合、相手が合わせてくれますね。
阿木 NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」を拝見しましたが、川原さんはすっかり現地に溶け込んでいらっしゃって、ほとんど日本人には見えませんでした(笑)。
川原 実はそれが、あまり良くなくて(苦笑)。スーダン政府からすると、コイツは何考えてるんだと見えるようです。元外務省で、辞めたにもかかわらず今もスーダンにいて、これだけ地域住民の中に入り込んでいる。実は、なんか企(たくら)んどるんではないか、と。
阿木 実はスパイじゃないかとか、何か資源を探してるんじゃないかとか?
川原 そうそう。あるいは、現政権を倒すために何か仕掛けているんじゃないかとか。なんか臆測だけが先走っているんです。
阿木 こんなにスーダンに貢献なさっていらっしゃるのにね。川原さんは抜群の行動力が武器ですよね。でもスタッフの皆さんは、猪突(ちよとつ)猛進型の活動に大いにご苦労なさっているとか(笑)。
川原 「被害者の会」を勝手に結成しているみたいです(笑)。
阿木 一度でも、川原さんにお会いになった人は、たとえ被害者になってもこの男の夢に一緒に乗ってみたいと思わせる何かがおありなんでしょうね。
川原 だとうれしいですね。多分、最初は被害者と思っていた人が、次第に当事者に変わってくる(笑)。今度は、その人が他の連中を巻き込んで、オセロがコロコロ変わっていく形になればいいかなって。
阿木 ロシナンテスのロシナンテって、『ドン・キホーテ』に出てくる痩せ馬の名前ですよね。痩せ馬も数が集まれば大きなパワーになる。「この指止まれ」じゃないですが、川原さんが言い出しっぺで"砂漠に花畑を"みたいな、初めは荒唐無稽(むけい)に思われた夢にたくさんの人が賛同してくれて輪が広がっていく。夢が現実になっていく過程って、奇跡を見るようでは?

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