対談詳細

艶もたけなわ
loading...

馳星周 作家

2015年7月19日号

阿木燿子の艶もたけなわ 連載63

 ノワール小説の旗手、馳星周さんの最新作『アンタッチャブル』(小社刊)が、直木賞にノミネートされました。コメディータッチでありながら、心の深淵を描いた快作の創作裏話をはじめ、本名の由来から政治問題、馳さんの作品を通じての原発問題、はたまたペットの話など話題盛りだくさんの豪華対談─お楽しみください。

 ◇ソ連が崩壊してレーニン像が倒されたとき、結構ショックを受けました(笑)。
 ◇馳さんの創作には"怒り"があるでしょう。作品を通じて何を訴えたいのでしょうか?
 ◇やっぱり、「この国のあり方」だと思うんです。本当にこれでいいのか、っていう。


阿木  新作『アンタッチャブル』が直木賞の候補(選考会は7月16日)になられました。でも、今回が初めてではなく、候補には何回かなられたそうですね。
馳  多分、6回目だと思います。
阿木  6回も! ノミネートされるだけでもすごいことですよね。ちなみに、結果を待っているのって、どんな感じなんですか?
馳  最初のときはドキドキワクワクしてましたけど、今はもう、くれるならくれる、くれないならくれないでいいので、パパッと決めてくれないかな、と(笑)。
阿木  衝撃的なラストでした。このような長編を書かれる場合、結末はおおよそ想定していらっしゃるんですか?
馳  いや、ケース・バイ・ケースです。結末が浮かんで、そこまでどうやって持っていこうかと考えて書き始める場合と、まったく白紙の状態で書き始める場合があって、この本は後者です。椿というキャラクターだけ決めてスタートしました。週刊誌((注1))の連載だったので、じっくり考える暇がまったくありませんでした。あ~、もう締め切りが来る、みたいな(笑)。
阿木  ホント、週刊誌はサイクルが早い(笑)。白紙で始めて、どのくらい前から終焉(しゆうえん)を意識するんですか?
馳  話の山が3分の2を越えたなと思ったぐらいから、「あとはどう幕を引いていくかな」と、考え始めます。たとえば今回、どんでん返しを最初から考えていたわけではないんです。しかし、書いてるうち、これは何かの伏線にしとこう、という具合で仕掛けが加わっていく感じです。結構、適当なこともありますけどね(笑)。
阿木  かなり大雑把(おおざつぱ)(笑)。
馳  そうですね。僕は計画通りに進めるというのが、おそらく苦手なタイプなので、行き当たりばったりでやり始めることが多いです。
阿木  馳さんは、お子さんの頃から本を読むのがお好きだったとか。
馳  そうですね。子どものときは病弱だったので、あまり外で遊ぶことはなく、本ばかり読んでいました。最初は日本のSF小説、星新一さん、小松左京さん、筒井康隆さん、平井和正さんあたりを読んでいて、その後、ハードボイルドや冒険小説を読むようになったのが高校生ぐらいでしょうか。
阿木  馳さんの作品は、ハードボイルドや冒険小説とも違う、「ノワール小説」というジャンルですよね? ノワールって内容的に暗いイメージがありますが?
馳  もうちょっと人間の心の暗い部分に光を当てると言ったらいいんでしょうか。『アンタッチャブル』はコメディータッチで書いていますが、僕は基本的にノワールだと思って書いていました。人の心の闇の部分が焦点なので。
阿木  確かに! 主人公の一人、椿はかなり惚(とぼ)けたオジサンですが、得体(えたい)の知れない部分を持っていますよね。元々、彼はいいとこのお坊ちゃまの想定ですが、生い立ちにトラウマがあるということでしょうか?

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

  • 艶もたけなわ

    橋本マナミ 女優

    2017年6月18日号

    阿木燿子の艶もたけなわ 157   かつて、"愛人にしたい女性ナンバーワン"のキャッ...

コラム