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「国技」を徹底検証!貴乃花親方、白鵬、稀勢の里... 大相撲「土俵外ドロドロ暗闘」全内幕 大見信昭

2018年2月11日号

▼張り手&かちあげ「封印」で勝てなくなった白鵬の品格

▼2月理事再選目指す貴乃花親方の野望

 白鵬、稀勢の里の両横綱が途中休場した大相撲初場所は、イマイチ盛り上がらないまま千秋楽を迎えた。それもこれも、昨年から続く一連の騒動の後遺症なのか─。ベテラン相撲記者が、土俵の「内」と「外」で起きていた"暗闘"の全内幕を描く。

 カーテンのすそをちょっと上げて覗(のぞ)いたら、地獄の光景が広がっていた――。おそらく現在の大相撲界をあらわす小説はそんな書き出しで始まるに違いない。
 いろんなことがあった初場所も終わったばかりだが、正月場所ならではの、どこか新鮮で、華やかな雰囲気はいつも通りだった。客足も上々で、初日から大入り満員の垂れ幕は下がりっぱなし。これで去年から連続7場所も満員御礼が続いている。大相撲人気には一点の曇りもないように見えた。
 しかし、土俵の内も、外も、難問だらけ。一つ舵(かじ)取りを間違えたら、たちまち失速し、つい7、8年前のように館内に閑古鳥が鳴くのは必至なのだから。
 まさに大相撲の前途は多難。それを象徴したのが初場所の前半、相次いで休場し、ファンの失望を買った白鵬、稀勢の里の両横綱だった。果たして彼らの休場は、ただ単に体調が悪かったからだけなのか。
 まず白鵬。初場所途中休場への導火線となったのが、横綱審議委員会から浴びた、一発の強烈なパンチだった。これが効いた。昨年12月20日の臨時横審後に記者会見した北村正任(まさとう)委員長(毎日新聞社名誉顧問)が、自分のところや横審宛てに相当量の投書がきていることを明かしたうえで、
「張り手、かちあげが(九州場所では)15日間のうち10日以上もある。これは横綱相撲とは言えないし、美しくない、見たくない、という(横審委員の)意見だった」
 と注文をつけたのだ。
 横綱に上がる前後の白鵬は左前みつを素早く取って右四つになり、一気に前に出る、堂々とした横綱相撲を取っていた。しかし、もう横綱になって63場所、10年半になる。この間に、瞬発力やスピードは衰え、張り手やかちあげを多用するしかなくなってきていた。
 この攻めの起点を封じられれば、いくら白鵬でも相撲を取れなくなる。どうやって白鵬は張り手、かちあげに代わる必勝パターンを見付けだすのか。初場所前から注目されたが、やはり長い時間をかけて染みついた癖は一朝一夕には抜けないし、克服もできなかった。
 初場所の白鵬は、いきなり左上手を取りにいって失敗したり、右四つにいったり、右からおっつけて出たり、出場した4日間ともさまざまな立ち合いを見せた。しかし、成功したのはわずかに2日目の逸ノ城戦だけ。あとの3日間はいずれも失敗し、大きく攻め込まれたり、負けたりした。
 つまり、およそ相撲にならなかったのだ。その相撲にならずに負けた4日目の嘉風戦で、初日の朝稽古(あさげいこ)で痛めた右足親指に加え、左足の親指まで痛め、翌日から、ついに休場した。提出された休場届には、
「左母趾(ぼし)MP関節靱帯(じんたい)損傷、右母趾末節骨骨挫傷・爪下血腫で全治2週間を要する」
 と書かれてあったが、立ち合いに迷いに迷い、勝てる方法が見つからずに土俵から逃げ出したと見られても仕方がない。
 状況は深刻だ。休場してもおちおち休んではいられないだろう。混乱した頭をよく冷やし、これからどんな立ち合いをするのか、答えを見つけ出さなくてはいけないからだ。果たして白鵬は復活できるか。同じ一門の関取OBはこんな見方をしている。
「再生は容易ではないでしょう。これは、突き詰めると生き方の問題ですから。白鵬はこれまで、勝たなくては意味がない、強ければ何をやってもいいんだ、と思いこんで相撲を取ってきた。また、10年以上も横綱の座に君臨し、まわりからチヤホヤされる生活にも慣れ、すっかり鼻が高くなっている。こんな考えや生活を根底から引っ繰り返さなければいけないんですから。いまの白鵬にまだそれができる心の広さ、柔らかさが残っているかどうか。
 白鵬はあと2年、2020年の東京五輪まで現役でがんばりたい、という思いをあちこちで話していますが、これで一気に厳しくなってきましたね」

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