スポーツ・芸能詳細

News Navi
loading...

屈指の太刀回りで見せる半生 "最後の座長公演"沢竜二の夏

2016年8月14日号

 長らく大衆演劇界のスター俳優であり続けてきた沢竜二(80)が、8月8日から最後の座長公演「ある旅役者の記録」に臨む。同日、新宿紀伊國屋ホールで行われる東京公演を皮切りに全国を巡業する。
 巡業終了後も俳優業は続けるが、主演と演出、プロデューサー役のすべてを兼ねる座長は今回で最後。理由を本人に尋ねると、「年齢の問題ですよ」と苦笑いを浮かべた。
「演技をするだけなら問題はないが、座長となると役割の重さがちがう。それと、昔の自分の舞台を収めたビデオを見ていたら、今の自分の太刀回りに納得ができなくなった」(沢、以下同)
 大河ドラマ「風と雲と虹と」(NHK)や「水戸黄門」(TBS)などの時代劇に、乞われて何度も出演した沢の太刀回りの技量は当代屈指とされ、監督たちに指導を求められるほど。はた目には今なお衰えは見えないが、本人は陰りを感じているようだ。
 沢の亡き母親も九州を中心に活躍した大衆演劇のスター。このため、本人も4歳で初舞台を踏み、16歳で早くも座長に。以来、座長公演数は軽く1万回を超えている。
 演技そのものに対する評価も高く、故蜷川(にながわ)幸雄さんの求めを受け、「さらば、わが愛 覇王別姫(べつき)」などの蜷川作品に何度も出演した。故菅原文太さんが主演した映画「トラック野郎シリーズ」にも登場している。
 顔と名前が売れると、大衆演劇を捨ててメジャーな仕事に専念する者もいるが、沢はそうしなかった。
「やりがいのある仕事でしたから。映画やテレビの仕事は監督のために演技をしているように思えてしまい、どうも物足りなくて」
 沢の芝居の観客たちは多くが普段着で会場を訪れ、大声で笑い、大粒の涙を流す。それが沢の活力だった。
 最後の座長公演の筋書きは沢自身の半生記になる。
(高堀冬彦)

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

コラム