ベースボールの臨場感重視か、安全性の確保か。
札幌ドームの内野席でプロ野球を観戦中、ファウルボールが顔を直撃して右目を失明した30代の女性が日本ハム球団、札幌市などに損害賠償を求めていた訴訟で、札幌地裁(長谷川恭弘裁判長)は計約4200万円の支払いを命じる判決を3月26日に言い渡した。日本ハム球団などは4月7日に判決を不服として札幌高裁に控訴し、球界が注目する事態となっている。
判決によると、女性は2010年8月21日、夫や子どもと日本ハム対西武戦を観戦していた際、ライナー性のファウルボールが顔を直撃、眼球破裂で右目を失明した。札幌ドームの内野席には当初、高さ2・9メートルのフェンス上に2・1メートルの防球ネットが設置されていたが、試合や選手の動きを見やすくするため06年に日本ハム球団が申し入れ、防球ネットが撤去された。
裁判長は判決理由で「野球の知識が豊富な観客ばかりではない。臨場感を優先する声に偏って安全性を後退させるのは、球場管理として不適切」と球団側の臨場感重視の主張を退け、「ドームの設備は危険を防止するに足りず、安全性を欠いていた」と指摘した。
判決後、球団側は「観戦の本質的な要素である臨場感が失われてしまうことを懸念する。1球団のみならず野球界全体に及ぼす影響も十分に考えられる」と控訴する姿勢を見せていた。
これまでにも、けがをした観客が球団などを提訴した例はあったが、いずれもファンが求める臨場感に重きを置いて、請求は棄却されてきた。請求を認めた判決は初めて。
確かに臨場感と危険は隣り合わせだ。危険承知で臨場感を求めるファンは多い。このような場合は自己責任としていいかもしれないが、ラウンジで食事できるなど観客がボールの行方に集中しにくい環境も増えている。集客中心にシフトしている球団が多いことが、この訴訟が注目されている理由だ。
(水木圭)
[写真]臨場感は観戦の醍醐味だが...
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