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水害は脱ダムのせいなのか 作家・元長野県知事 田中康夫の実践的「治水・治山」原論

2019年11月17日号

<しなやかな是々非々>

 甚大な被害をもたらし、河川氾濫の恐ろしさを知らしめた台風19号。安倍首相は防災の観点から八ッ場ダムを称賛し、また、「脱ダム」が水害を招いたという声もある。だが果たしてそうか? 長野県知事時代から、河川のネットワークを見極めた「治水」を思索、実践してきた田中康夫氏による真の国土強靱化論。

「『土堤(どてい)原則』は、断じて譲れません」。

 河川局を改組して2011年7月、国土交通省に誕生した水管理・国土保全局の官僚は拒み続けました。土と砂利以外の「不純物」が堤防内に混じるのは馴染(なじ)まない、と真顔で。

 鋼鉄(スチール)も混凝土(コンクリート)も他の公共事業では「不純物」どころか必須の素材。コンクリート壁の隙間(すきま)から水が浸潤して平時から内部が〝液状化現象〟に陥りがちな堤防を補強すべく、両肩から基礎まで鋼矢板(こうやいた)を縦に2枚打ち込む護岸工法の事業化に向け、僕が求め続けた調査費が2011年度=平成23年度予算に初計上された後の遣り取りが冒頭の発言。

「決壊した箇所に仮堤防を設置する緊急復旧工事と、本格復旧工事の工法の違いを、河川行政に疎(うと)い我々に説明頂けますか?」。

 民主党政権の一翼を担っていた国民新党代表の亀井静香氏と共に新党日本代表の僕が尋ねるや、〝論理的で科学的な講釈〟を垂れました。「緊急時には鋼鉄の使用も止(や)むを得ないが、恒常的に駆体(くたい)として採用するのは好ましくない」。

 翌2012年12月の総選挙で僕は敗退。複数の製鉄会社が導入に向け勉強会を立ち上げていた「鋼矢板工法」の調査費を、国交省は打ち切ります。

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