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シリーズがん楽死 第1回/がんの痛みを解消する処方箋

2019年11月17日号

 日本人の半数がかかる病気、がん。治療法などが紹介されることは多いが、がんが引き起こす「痛み」についてはどれほどの知識があるだろうか。自らもがん闘病中の気鋭のジャーナリストが、緩和ケアの現場から、痛みの仕組みや対処方法を報告する。

▼七転八倒、せん妄は避けられる

▼正しいケアで「鎮静剤」不要

 「がん楽死」という言葉は私が熟慮の末に捻(ひね)り出した造語だ。言葉の持つ響きからいわゆる「安楽死」を想起される読者もおられるかもしれないが、そのココロは「たとえ治らないがんにかかっても、自分が望む生活を送り、かつ、最後はラクに逝きたい」にある。

 もちろん最初のがん手術で完治に至るケースもあるが、手術後に再発、転移したり末期で見つかったりした場合、「せめて苦痛なく逝きたい」は多くの人々に共通する願いに違いない。実は、私も大腸がんの手術を経験した患者の一人であり、今後、仮に私のがんが再発した場合、「がん楽死」は勢い切実な問題として我が身に降りかかってくることになるのだ。

 ところが、現在の緩和医療は人々のそのような願いや要請に必ずしも応えるものとはなっていない。

 確かに「緩和ケア(在宅緩和ケアも含めて)」や「看取(みと)り」などの言葉は広く知られるようになった。しかし、緩和ケアが標準がん治療の尽きた最末期患者の「送り込み先」として利用されていたり、結果としての看取りだけが独り歩きして「その人らしく生きるための支援」が抜け落ちていたりと、緩和医療の現場にはお寒い現実も少なからず横たわっている。

 その結果、「がんの末期には七転八倒の苦痛が待ち構えている」に代表される多くの誤解が世に蔓延(まんえん)するとともに、実際、適切な緩和ケアが受けられないまま七転八倒の死を迎える患者も少なくない。しかも、人生100年時代を迎え、今や「日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで命を落とす」とされる時代である。

 とすれば、私も含めて、我々は「がんによる死」について何を学び、これにどう向き合っていけばいいのか。本シリーズではまず、「がんのホームドクター」として全国的にも極めてユニークな在宅緩和ケアを行っている「さくさべ坂通り診療所」(千葉市)の大岩孝司医師(72)らの先進的な取り組みに連続3回で迫ってみたい――。

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