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日本の名門高校 全国に根を張る歴史と伝統と人脈/下 中国、四国、九州、沖縄編

2019年7月21日号

 日本列島をつぶさに歩いたジャーナリストが、全国に散らばる伝統校を紹介するシリーズ最終回は西日本17県を概観する。各校が培ってきた分厚い歴史と実績、そして豊かな人脈はまさにこの国の財産だろう。このページに新たな校名が刻まれることを期待したい。(文中敬称略)

 ◇鳥取県

 人口は約56万人で全国の都道府県で最も少ない。「市」は四つしかない。高校野球の県予選出場校は25~27校にすぎない。大都市にある高校からは「最短で甲子園に行ける県」という声が出ている。

 旧制中学を前身とする県立の伝統校が4市にある。鳥取西、米子東、倉吉東、それに境(境港市)だ。
 鳥取藩の藩校をルーツとする鳥取西のキャンパスは鳥取城跡の堀の内側、三の丸の跡地にある。校地が高台の城跡中心部にあるという高校は他に、滋賀県立彦根東(彦根城の特別史跡内)など全国に数校しかない。「文武両道」を標榜(ひょうぼう)している高校は多いが、鳥取西は「文武併進」という表現をしている。

 ◇島根県

 旧制中学を前身とする松江北、浜田、大社が伝統校だ。旧制松江中(現松江北)に通った中に若槻礼次郎と竹下登という2人の首相がいる。首相を複数出した高校は他に東京の私立学習院高等科(3人)と私立麻布、山口県立山口、群馬県立高崎しかない。
 松江南は1961(昭和36)年設立で、比較的若い高校だ。しかし、財務事務次官や主計局長(次期財務事務次官候補)などの高級官僚が出ている。

 ◇岡山県

 県庁所在地である岡山市にある岡山朝日、岡山操山、西大寺、倉敷市にある倉敷青陵、中国山地にある津山などが伝統校だ。
 岡山朝日は名園として名高い後楽園の南東、旧制第六高等学校の跡地にある。正門、書庫などが現存し、国の登録有形文化財だ。
 難関大の合格者は岡山朝日がトップだが、私立の岡山白陵(赤磐市)が追い上げている。ただし76(昭和51)年開校のため、活躍する著名人はまだ少ない。
 倉敷青陵の学力が近年、伸びているのが注目点だ。

 ◇広島県

 明治時代、各県に最初に設立された旧制中学は「一中」を名のることが多い。広島の旧制一中は、戦後の学制改革で広島国泰寺となった。二中は広島観音に、三中は三次(みよし)となった。福山誠之館は福山藩の藩校をルーツとしている。呉第一中は呉三津田に、第一高女は広島皆実となった。
 私立では、修道、広島学院がある。修道は私立では珍しく、広島藩の藩校をルーツとしている。日産自動車の前会長カルロス・ゴーンの弁護人であり、「日本最強の弁護士」と言われている弘中惇一郎や、陸上競技の短距離走者である山縣亮太が卒業生だ。
 国立では、広島大学付属がある。前身が広島高等師範学校付属中学だ。国立の旧制中学は戦前、広大付属と学習院(現在は私立)、東京高等師範学校付属中学(現筑波大付属)の3校しかなかった。
 広大付属からは有力な人物が多数巣立った。新元号「令和」の考案者とされる万葉集研究の第一人者、中西進が旧制時代の卒業だ。

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