政治・社会詳細

イチオシ
loading...

スクープ!天皇と政治 北方領土―陛下かく語りき 鳩山由紀夫・細川護熙 二人の元首相体験的天皇論

2019年4月21日号

倉重篤郎のニュース最前線

 <新元号「令和」の幕開けに―― あえてタブーに斬り込む!>

 安倍首相による長時間の新元号説明は政治パフォーマンスではないだろうか。今回の「ニュース最前線」は、天皇と政治を巡る特報である。かつて内奏時、天皇が北方領土問題に言及した詳細を鳩山由紀夫元首相が明かし、昭和天皇の戦争体験について細川護熙元首相が振り返る。

 元号報道がかまびすしい。テレビが朝から晩まで特番を組み、新聞も大々的に報じている。天地がひっくり返ったような騒ぎ方である。
 首相官邸のはしゃぎぶりも目立つ。菅義偉官房長官が新元号「令和」を掲げる記者会見までは平成発表時と同じだったが、その後が違った。安倍晋三首相がその倍の時間を使って、自らが最終選定者であることを明かしながら、国書からの出典の事情や選定の趣旨を思い入れたっぷりに語った。
「新しい時代を国民の皆様と共に切り開いていく。決意を新たにしている」。この政治パフォーマンスをどう見るか。折しも統一地方選真っただ中である。御代替わりの政治利用と見えなくもない。もともとは生前退位に否定的だったはずの人である。「政魂」たくましいというべきか。
 御代替わりをそれだけで終わらせていいのか。二人の首相経験者と考える。
 まずは鳩山由紀夫氏である。
「統一選のさなかだ。ちょっと使い過ぎている気がする。そもそも安倍首相は生前退位に反対しておられたわけでしょう。にもかかわらず、やるとなったら徹底的に使う。こういうのを政治利用というのではないか。
 私が首相の時にも天皇の政治利用と批判されたことがあった。来日した習近平・中国国家副主席(当時)と天皇会見をセットした時(2009年12月15日)、天皇との会見を希望する場合には1カ月前に文書申請が必要だとする30日ルールに違反、官邸の政治利用だと言われた。だが、日中両国がこれを機により協調関係を深めるべきだという大局的判断に立って、私が当時の宮内庁長官に連絡してそう決めさせた。私は国益のために判断したつもりだが、今回は私心のままに行動しているように私には見える。もっと節度があってしかるべきではないか」
 天皇の政治利用の禁止。憲法第4条が「(天皇は)国政に関する権能を有しない」と定めるところである。天皇は自らも政治的動きはできないが、また時の政権が天皇を政治的に利用することもあってはならない、という条項である。軍部が天皇大権を利用して暴走した、あの無謀なる大戦への反省・教訓から憲法に組み込まれた。
 ただ、これはあくまでも建前論であるということもこの御代替わりに確認しておきたい。実際には、今回のように時の政権が天皇を政治利用したと見られることも多々あるし、天皇が政治的な言動を発することも皆無ではないのである。
 例えば、昭和天皇時代にはこういうことがあった。1956年12月、時の石橋湛山首相が組閣リストをもって内奏(天皇への国政報告)した時のこと、天皇が岸信介氏の外相就任に難色を示し、岸氏を「東條(英機元首相)以上の戦争責任者」と2度も名指しした、というエピソードである。石橋氏は当時これを胸に秘めたが、60年の安保改定時に昭和天皇のことを「ある一人の人」としてこのやり取りを私信にしたため岸首相に送り、岸氏の強硬姿勢を牽制(けんせい)した。その私信の控えが数十年ぶりに発掘され、この欄でも紹介した(2016年10月30日号から11月13日号まで3回連載)。
 平成の天皇についてもこの節目に、その政治的言動を検証する。そのことによって、天皇と政治、天皇と国民との関係をもっと深めたい。
 その一つとして、鳩山由紀夫政権時代、鳩山氏が平成の天皇に対して行ったある内奏の中身を紹介する。そこでは北方領土問題について天皇が明快な政治的意見を述べられている。
 以下は、16年11月16日に私が鳩山氏に取材した時のメモである。
 鳩山氏への取材は、首相経験者として、先述した石橋湛山私信をめぐる報道についてどう思うか、ということから始まり、その延長線上で平成の天皇についての内奏のやり取りにまで踏み込んで聞いた。

 ◇「麻生政権時の面積2等分論に反対」

 鳩山氏は「ある一人の人」が昭和天皇であることは間違いないだろうとしたうえで、平成の天皇についても「私も3、4度(首相時代に)天皇陛下とお会いさせていただき、内奏申し上げたが、話は政治のかなり具体的な中身に入ります」と明かしてくれた。さらにこちらから突っ込んだ。

 どんな内容ですか。
「具体的なことを自分の意見としてお話しされることがある。天皇という立場で、政治に口出ししてはならないことをわかっておられると思うが、やむにやまれぬ気持ちになっておられることもあるのではないか」
 そこで聞きたい。具体的な話になるが、陛下が北方領土問題で時の鳩山首相に対し意見されたことがあると聞きました。

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

  • 艶もたけなわ

    毎熊克哉 俳優

    2019年5月19日号

    阿木燿子の艶もたけなわ/251   映画「ケンとカズ」で新人賞を相次いで受賞。裏社会...

コラム