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剛腕復活! 小沢一郎・自由党共同代表激白 我に政権奪取の秘策あり!

2018年10月21日号

倉重篤郎のサンデー時評

 ◇沖縄県知事選 安倍自民敗北の衝撃  

 ◇「野党がまとまれば来年の参院選も勝てる」

 沖縄県知事選で、翁長雄志氏を継承する玉城デニー(58)自由党幹事長が勝利した。これを「安倍政権への批判の噴出」と見る同党共同代表の小沢一郎氏(76)が、沖縄の闘いが中央政界に与える深い影響を分析、野党がまとまり安倍政権を倒す道筋を展望した。倉重篤郎が迫る。

 今回の沖縄県知事選は、安倍晋三・自公連立政権にとっては何が何でも落とせない選挙であった。
 理由は三つあった。
 第一に、政権が威信をかけて取り組んでいる辺野古新基地建設問題に大きな影響を与えるからだ。新基地はすでに埋め立て開始の一歩手前まできている。県政を自公側が奪還できれば、この秋から一気呵成(かせい)に工事を進めることができた。
 逆に、この選挙を失うと、新基地には大きなブレーキがかかる。4年前に続き2度も「新基地ノー」という沖縄の民意が示されたことになるからだ。安倍政権といえども強行はできまい。民主主義の本家を自任する米国にとってもウエルカムではない。結果的に新基地建設が遅れることは、安倍政権のガバナンスに対するトランプ米政権の不信感を高めることになる。
 第二に、安倍政治そのものに対する審判という側面を回避できないからだ。先の自民党総裁選で安倍氏は3選を勝ち取ったが、それはあくまでも党員、党所属の国会議員による内輪の信任選挙であった。今回は一地方とはいえ、一般国民による公的な安倍政治評価選挙だ。その結果は、即政権の政局運営を直撃する。
 第三には、来年の参院選の前哨戦として野党共闘を勢いづかせるか否か、という分水嶺(ぶんすいれい)にあたる選挙だった。安倍陣営からすると6月の新潟県知事選に引き続き野党共闘の芽を踏みつぶすのが至上命題だった。失敗すると、参院選は本当に安倍氏で勝てるのか、という不信が募る。参院は、竹下派が総裁選で石破氏につくなど、安倍不信の強い院である。それに火が付き構造的安倍おろし要因につながることを避けたかった。
 それがゆえに、今回の選挙で安倍陣営が取ったのはかつてないメガ規模の組織選挙であった。二階俊博幹事長と菅義偉官房長官が司令塔となり、新潟県知事選とはケタの違う人とカネをぶち込んだ。創価学会も原田稔会長自らが乗り込む異例の力の入れようだった。
 これを迎え撃つ野党共闘側はどうだったか。各党が新潟の敗北を教訓にそれぞれに奮闘したのは事実である。ただ、その中でこの選挙の重要性を誰よりも強く認識し、行動した人物がいる。小沢一郎自由党共同代表である。側近の玉城(たまき)デニー同党幹事長を出馬させるにあたり、確固とした野党共闘作りと保守票取り込みに心を砕いたという。

 ◇「魂魄の塔」に主要野党が結集した  

その小沢氏に選挙総括と安倍政権の命運を聞いた。

 野党共闘側の久しぶりの勝利だ。小沢マジックか?
「そんなことはない。ただ、くたびれました。久しぶりに選挙の渦中に入ったからね」
 沖縄は遠い。
「4回行った。久しぶりだ、これだけ選挙に入ったのは。アドレナリンが出たね」
 あなたは今回の選挙結果は二つの勝利をもたらしたという。一つは、沖縄の未来にとっての勝利だ。
「これは翁長(おなが)(雄志(たけし)前知事)さんから始まったものだ。玉城デニー君もそれを引き継いだ。僕流に解釈すると、単に政府の補助金に頼るのではなく、沖縄の特色のある地場産業をどう活性化するか、東南アジアの玄関口としての地政学的なメリットをいかに活用するか。補助金や基地に依存するばかりではダメで、沖縄独自の未来を展望する路線だ。それが今回の選挙で再確認された」
 もう一つは日本の民主主義にとっての勝利という。
「これは簡単だ。強権的手法はダメだ、ということだ。安倍政権のように権力主義的なやり方で物事を進めようとしても国民の支持は得られない。その反民主主義的な体質が選挙によって断罪された。明らかに民主主義の勝利ということができるだろう」
 勝因を分析すると?
「安倍政権に対する批判が出た、の一言だ。沖縄に限らない。日本国民の心の中に積もり積もっているということだ。沖縄ではそれに加えて基地問題があった」
 翁長氏が病床から玉城デニー氏を後継指名した。
「そこだ。革新系候補では勝てない、という翁長氏の判断だったのだろう」
 革新系候補ではダメ?
「保守票が入らない。保守浮動票の受け皿としては自由党しかない。それと、玉城デニー君の選挙強さだ。さすがに翁長さん。よく見ておられた。選挙で勝つためにはデニーしかいないと思ったんじゃないか」
 翁長後継としては、呉屋守将(ごやもりまさ)・金秀グループ(※1)会長の名前も挙がっていた。4年前にも翁長選対の本部長を務めた人だ。
「本人はもう自分が政治家にはならない。自分は実業家だということだった、と思う。だが、今回はデニー選対本部長として本当によくやってくれた。あの人がいなかったら勝てなかった。保守がまとまったのと、選挙態勢自体の重しになってくれた」
 どこで勝てると思った?
「沖縄入りしてすぐ勝てると思った。ただ、心配なことがあった。指揮官がいなかったことだ。だから僕は呉屋氏と話をして頼んだ。その彼が翁長氏の時以上にやってくれた」
 野党共闘は機能した?
「政党を軽視するのが今のはやりかもしれないが、野党共闘がやはり必要だということがよくわかったはずだ。僕の中には各党がそろい踏みで応援しているという姿を一回沖縄県民に見てもらわなければいけない、という思いが強くあった。『魂魄(こんぱく)の塔』(※2)でそれを実現することができた」
「魂魄の塔」とは糸満市にある翁長氏の父が建立に関わった戦没者供養塔だ。4年前の知事選でも翁長氏が第一声の前に訪れた、という。
「そこに野党5党1会派、沖縄社会大衆党も全部そろった。これだけは絶対にやらなければと僕が主張した。地元のメディアがその姿を流してくれた。野党が全部一緒というイメージは絶対にプラスになったはずだ」
 安倍陣営の組織戦は?
「組織戦というか滅茶苦茶(めちゃくちゃ)だった」
 物量が飛び交った?
「文字通り手段を選ばず、だった。2月の名護市長選では、選挙区が狭かったから物量作戦が効き、反基地候補の優勢を自公候補が引っ繰り返したが、さすがに今回は全県、全島しょ部相手だ。有権者全員には手が届かなかったということだ」
 自民党議員、秘書、職員が大量に送り込まれた。
「現場にしてみれば迷惑だったのではないか。応対に選対はてんてこ舞いするし、(訪問先の事業所も)仕事にならない。動員ばかりかけられ皆、最後にはうんざりしてしまったのでは」

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