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モリ・カケ疑惑 核心の新事実を暴露する!

2018年6月10日号

倉重篤郎のサンデー時評

▼森友文書公開「安倍首相はもう逃げ切れない」

▼「加計問題は贈収賄事件」これだけの根拠

▼現政権が最も恐れる2人が「モリ・カケ」最終総括  

安倍首相と加計学園理事長の会談・会話を示す「愛媛県文書」が提出された。加計問題の本質を「業者接待による贈収賄」と喝破する江田憲司衆院議員と、森友問題で安倍首相の「進退答弁」を引き出した福島伸享氏が、モリ・カケ疑惑の最重要局面を激白。「サンデー時評」倉重篤郎が迫る―。

 永田町、霞が関の人々は、この青年の爪の垢(あか)でも煎じて飲むべし。
 日大アメフット部による悪質タックル事件。反則をした選手本人が5月22日、日本記者クラブで記者会見した。20歳の青年の実直な会見であった。数百人の報道陣と、カメラのフラッシュの中で、深々と頭を下げ続け、淡々と真実を語った。
 彼の反則プレーは許されるものではない。いかに監督、コーチから強い「指示」を受けようと、一線を越えるべきではなかった。
 だが、彼は自らの過ちに気付くと、人の道として最低限のことを行おうとした。一つは、会見の場で顔と実名をさらして被害者側に対する強い謝罪の意を込めようとした。もう一つは、どう「指示」があり、彼がどう解釈し、実行に移したか、という具体的かつ詳細な事実釈明である。
 長身を90度に折り曲げて15秒近くも頭を下げ続けた謝罪からは、誠意と真剣さが伝わってきたし、「指示」は受けたものの、反則したこと自体は自らの責任であり、自分の弱さがその原因だったとする自己総括も抑制的で好感が持てた。
 ここまで来るには、後悔と苦悶(くもん)の日々が続いたであろうことは想像に難くない。真に悩み抜き、勇気と覚悟によって一定の心境に到達した者の強さを青年の中に見たような気がした。
 青年の投じた一石は、青年の思惑通り、前代未聞のこの反則事件の事実解明を一歩前に進めることになろう。日大当局、アメフット部側も引き摺(ず)られるようにして記者会見に臨んだ。臨まざるを得なかった。
 それに比べて、森友・加計(かけ)学園疑惑である。ここまで状況証拠が固まり、安倍首相の行政権の私物化と国会への嘘(うそ)が明らかになりつつあるのに、事実解明も謝罪も遅々として進まない。いずれの疑惑も明らかに行政上、政治上のあってはならない反則行為である。にもかかわらず、安倍1強の監督・コーチ体制のマインドコントロールから自民党も官僚もなお脱し切れない。あったことをなかったかのように封じ込めんとしている。勇気ある若者と比べ、恥と思うべきではないか。
 天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして漏らさず。お天道様は見ておられる。今回、愛媛県から出てきた文書は、加計問題が実は単なるお友達優遇に留(とど)まらず、贈収賄とも受け取れる深刻な一面を持った事件であることを示している。財務省からは廃棄したはずの森友に関する交渉資料が出てきた。ここで政権が最も恐れる2人の現・前衆院議員に登場いただき、モリ・カケ問題の最終総括をしたい。

 ◇「首相の職務権限は100%ある」

 まずは、江田憲司氏だ。元通産官僚。橋本龍太郎政権で2年7カ月、首相秘書官を務めた。経産支配といわれる今の官邸事情に精通、加計疑惑について最も本質に迫った追及をしている。

 加計は贈収賄事件だと。
「刑法には単純収賄として『公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又(また)はその要求若(も)しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する』(197条)とある。首相は公務員だし、国家戦略特区の議長だから職務権限は100%ある」
「問題は賄賂性。金銭の収受だけでなくていい、というのが20年前の大蔵省接待スキャンダルの時の捜査当局の方針転換だった」
 1998年の橋本政権時に発覚した金融業界と監督官庁の大蔵官僚(当時)の癒着が問われた事件だ。
「あの時、東京地検特捜部は大蔵省証券局課長補佐、日銀証券課長らキャリア官僚を収賄容疑で逮捕した。従来は金銭収受があったかどうかが重要とされたが、時の熊崎勝彦特捜部長は、飲食接待だけで立件し、有罪となっている」
「今でも思い出す。大蔵官僚たちがなぜ急に方針が変わったのかと文句を言っていた。僕も通産官僚として先輩から聞いていたのは、金銭の授受だけは絶対ダメ、だが、飲食やゴルフはいくらでもやっていい、ということだった。そういう感覚があった」
 今でもそういう認識の役人もいる。だが、20年前に180度転換した。その意味が今また問われている。
「安倍首相は加計孝太郎理事長との間で、第2次政権だけで19回の会食、ゴルフをしたことを明らかにした。奢(おご)られた場合もあると明言している」
「接待は金額の多寡は問われないのが通説だ。問題は対価性の認識。加計氏側に獣医学部新設認可をしてもらおうという接待の意図があり、安倍氏がそういう趣旨で接待を受けた、という認識があればアウトだ」
 安倍氏がいつ加計の獣医学部新設計画を知ったかが、重要になる。
「安倍氏が2017年1月20日(の加計が特区申請した時)に初めて知った、となぜ答弁を変更したのか。それ以前は、国会答弁や質問主意書で『今治市が特区申請した15年6月4日に知った』と言っていた」
 大臣規範に触れる、というのが変更の理由という。
「そんな軽い話ではない。加計が申請業者と知りながら許認可権者である首相が接待を受けたのでは、さすがにやばいと判断した。ことの流れが贈収賄に当たりかねない。その後、一貫して『17年1月20日』ラインを死守しようとしていることでも見て取れる」
 だからこそ、柳瀬唯夫元首相秘書官が15年4月2日に加計、今治市、愛媛県側担当者と官邸で面談したことも認めたくなかった。だが、愛媛県、農水、文科省文書によって面談の事実と中身が詳(つまび)らかにされてしまった。
「柳瀬氏が加計側とそれを含めて前後3回も官邸で会っていたのには驚いた。しかも、相手は首相が許認可権限を持つ利害関係者だ。私の官邸経験では100%あり得ない話だ」
「首相秘書官は、首相にとっては夫人よりも時間を長く共有する。毎日夕方には打ち合わせをするし、昼食を共にすることも多い。首相の息遣いや体温までも感じる間合いで仕事をしている。17年1月20日までの1年9カ月の間、首相と秘書官の間でこの話題が出なかったことは到底あり得ない」
 首相側は、19回の会食等が加計認可に関する特別なものではなかった、という立場だ。過去何度も行われてきた中の一つで新規性はなく、従って認可とは対価性はない、という論法だ。
「いみじくも僕がひっかけ質問した。『第1次安倍政権(06年9月~07年8月)では一回も加計氏との飲食ゴルフはなかったようだが』と。通告せずいきなり質問したら、安倍氏は『首相動静に載ってないこともある。1次政権でもやっていた』と答弁した。認可との対価性を消すために接待を常態化しようとしたが、結果的に墓穴を掘った形だ。動静に載ってないこともあると答弁したわけだ」
 そこで、最新の愛媛県文書だ。それによると、15年2月25日に安倍首相、加計理事長との15分間の面談があり、加計氏が「今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すこと」などを説明、安倍氏は「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と応じている。これは「首相動静」には載っていない。
「この事実が判明したのは重い。これまでの話だと、安倍、加計会食の最後は14年12月で、15年4月2日の柳瀬・加計面談までは間があった。今回の文書ですべてが氷解する。柳瀬氏の3度の面談には、安倍、加計トップ会談という前段があり、そこから官邸が総がかりで加計認可のバックアップ態勢に入った」

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