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小泉純一郎・元首相 激白90分 安倍首相には、もはや期待しない!

2018年2月 4日号

◇「脱原発」「憲法改正」「自民党総裁選」...

▼原発推進派の主張は全てウソだ!

 年明け、記者会見を開いて「原発ゼロ法案」を発表した小泉純一郎元首相(76)。「安倍政権では無理だろうが、将来に備えて国民運動を展開する」と小泉節を轟(とどろ)かせた。脱原発に向けた確信の根拠は何か? 安倍政権をどう見ているのか? 変革に向けた若々しい情熱を、倉重篤郎が訊(き)く。

 その人に前にお会いしたのは、5カ月前、昨年8月末だった。
 ミサイル威嚇攻撃を繰り返す金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長の北朝鮮へ、日本からの特使派遣で問題解決を図れないか。そんな観測記事が出る中、特使に擬せられたその人に電撃訪朝がありうるか、質(ただ)した。
 その人、小泉純一郎元首相の回答は、「ない、ない」と一笑に付すものだったが、併せて聞いた政局の見立てが忘れられない。森友・加計(かけ)学園疑惑での安倍晋三政権の行き詰まりを指摘、この問題について十分な説明ができないのであれば、臨時国会冒頭解散もありうる、との見解だった。実際に解散の動きが表面化したのは、その2週間後だったから、その予測の的確さに驚かされたものだった。
 その後、小泉氏は脱原発の地方遊説に専念している、と思っていたら、年明けになっていきなり記者会見、原発ゼロ法案を発表した(1月10日)。曰(いわ)く「原発ゼロは、もう安倍政権では無理だと思っているが、必ず実現する。次の総裁選ではわからないが、いずれ国民の声を受け止められる人が出てくる。そのための国民運動を展開していく」。
 久々の小泉節。もはや安倍首相には期待しない。日本政治を原発ゼロに切り替えられる次のリーダー作りのために最後の一働きをする、との意思表示だった。
 もちろん、倒閣運動ではない。だが、安倍1強政局に投げられた曲球(くせだま)のにおいもしないではない。ついては真意を聞こう。17日、小泉氏を都内の事務所に訪ねた。

◇安倍政権では「もう変えられない」

 3・11から7年。一貫して脱原発の伝道師を続けている。その原動力は何か?

「原発が安全で、コストが一番安く、永遠のクリーンエネルギーという推進論者の主張が明白な嘘(うそ)だからだ。地方講演を数え切れないほどこなし、国民に脱原発への根強い支持があることもわかった。原発ゼロはやればできるし、できるだけ早くやったほうが日本のためにいいということだ」
 小泉氏はその後、この三つの嘘をさまざまな角度から論証。原発に代替すべき水力、風力、地熱など自然エネルギーの開発が世界的にいかに進んでいるかについても、例証してくれた。
 いずれも説得力のある興味深いものだった。関心のある方は、ユーチューブで検索してほしい。小泉氏の地方講演の模様が手に取るように伝わってくる。
 それにしても、なぜ今この時期に記者会見なのか。
「政府・自民党は選挙で原発依存度を下げる、と公約しながら、2030年の電源構成で原発を20~22%の基幹電源とするなど逆をやっている。すでに原発ゼロで2年間やってきた実績があるし、現時点でも依存度は2~3%だ。よく恥ずかしくないな、とあきれている」
「加えて政府保証だ」
 小泉氏が取り上げたのは、日立が英国で進める原発事業をめぐり日本が新たに政府保証をつける、という安倍政権の最近の方針だ。
「民間金融機関は政府が保証しないと融資しない。原発メーカーも政府が保証しないと輸出しない。なぜか。原発には依然として事故の可能性がある、事故があれば損害があまりに大きすぎ、民間では負担しきれない。政府が保証しない限りやれない、ということだ。外国で事故が起きても日本が負担する。原発が危険なことがわかっているのにツケをどんどん国民に回す。これには憤りを感じた」
 日立といえば、安倍政権に近い、といわれる次期経団連会長を出す企業でもある。そこに政府保証というのもすっきりしない。
「経団連としてますます原発が必要だと働きかけるんだろう。それにまた引きずられるのが悲しいね」
 同じ原発メーカーである東芝は実質経営破たんした。
「原発をやっていくこと自体に経済性がない。米国がいい例だ。バーモント州で、福島1号機と同じタイプの原発の運転延長をめぐる訴訟があった。原発会社は訴訟に勝ったのに運転をやめた。安全対策で採算が合わないという判断だった」
 日本ではなぜ原発をやめられない?
「そこが私もわからない。原発ゼロにしたら国のエネルギー政策が立ち行かないと言うが、現に原発ゼロでやってきた。コスト安を理由にした推進論者たちは今、口に出しては言わないが、どんなにコストがかかっても原発を維持したいというのに変わってしまった。原子力村の力がまだ強い、ということなのだろう」
 安全保障面での原発維持論もある。核兵器製造の潜在能力保持が目的だ。保守派の本音はそこだと言う。
「私はその議論に与(くみ)しない。なぜ核兵器を持てば安全なのか。それより核兵器禁止条約にどうして参加しないかわからない」
 米国の核の傘の下だと立場が弱い、言いなりだと。
「それは違う。確かに、米国にも原発推進論者がいる。日本の原発ゼロは困るという勢力もいる。だが、私も総理をやったからわかるが、米国というのは日本国民がしっかり決めれば日本の意思は尊重する。(同じ米国との同盟国の)独だって原発ゼロでやっている」
「推進論者は独の脱原発は、仏の原発による電力提供があるからで、島国日本はそれができない、という。シュレーダー前独首相が来た時に聞いたら、あきれていた。独は原発ゼロ宣言後も近隣諸国に売電している。仏に近い地域で原発電力を使っているが、なくても十分やっていける、と」
「安保面でいうと、逆の見方もある。テロの時代だ。9・11ではないが、原発をターゲットに自爆テロをやられたら大変だ。電力会社は日本国民に向けた原爆を持っているようなものだ」

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