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脱すべきは「囚人のジレンマ」? 日銀副総裁が地域金融に「直言」

2017年12月24日号

 日銀の中曽(なかそ)宏副総裁が11月29日に東京都内で行った講演が、地域金融機関関係者の間で話題となっている。中曽氏は講演で、地域金融機関は「囚人のジレンマ」に陥っているとみられると指摘したのだ。
「囚人のジレンマ」とは穏やかならざる表現だが、ゲームの理論に基づく社会科学的用語だ。中曽氏は、恒常的な収益力低下に直面する地域金融機関について、こう分析する。
「互いに過度な金利競争を回避すれば収益を維持できる一方、自行だけが競争から離脱すれば、他行に顧客がシフトし独り負けする可能性があることを、多くの金融機関が指摘している。そうした状況では、互いに金利競争から抜け出しにくくなっています」
 中曽氏は、銀行間の過度な競争がもたらす「囚人のジレンマ」から地域金融機関が脱するには、統合再編は有効な選択肢の一つと示唆している。地域の人口や企業数が減少する中、金融機関の供給能力は過剰な状態にある。金融機関の経営再編は、そうした過剰供給を改善する手段となる。同時に、金融システムの安定性や効率性を高めるうえでも有効であるというわけだ。
 ただし、中曽氏は「経営再編は将来収益を改善するための一つの選択肢だが、それが全てではない」とも指摘する。むしろ重要なのは、「将来収益の改善につながる粘り強い取り組み」であり、「各金融機関は利益最大化の時間的視野をより長期に据えてビジネスモデルの転換を図っていくことが重要」と訴えている。
 金融機関が近視眼的な利益追求に走れば、過度な金利競争につながり、結果として個々の金融機関の収益は下押しされることは明らかだ。
 だが、現実の営業の現場は日々、熾烈(しれつ)な競争にさらされている。「他行を出し抜いてでも自行だけでも生き残りたいというのが地域金融機関の本音」(地銀幹部)というのが偽らざる本音だろう。
 それこそが「囚人のジレンマ」であっても。
(森岡英樹)

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