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訪日客と日本人に「出国税」検討 「先に結論ありき」と批判根強く

2017年12月 3日号

 政府が突如ぶち上げた「出国税」構想。日本人を含む全出国者から1人1000円以内を徴収する方式だが、異論や反発が根強い。
 観光庁は新税導入の狙いについて、旅行環境の整備など「高次元の観光施策」の財源確保と説明する。2016年の訪日客は約2400万人、日本人出国者は約1700万人。新税導入なら約400億円を確保できる計算だ。政府は20年までに訪日客を4000万人まで増やす目標を掲げる。だが、大阪観光大の鈴木勝名誉教授は首をかしげる。
「Wi─Fiの整備や出入国の円滑化など、他国で当たり前の施策のどこが"高次元"なのか。既存の取り組みの延長であれば、各省庁に分散する観光関連予算をある程度一元化し、ムダや重複を省いて財源を捻出すべきです」
 また、日本人も徴収対象とすることに関して、「受益と負担の観点から問題がある」と指摘するメディアもある。
 とはいえ、新税導入の動きは加速している。観光庁の有識者会議の提言を受けた自民党の観光立国調査会は11月16日、19年度中の導入を求めていく方針を決議。政府は年末までにまとめる18年度税制改正大綱への盛り込みを目指している。元総務省官僚で政策コンサルタントの室伏謙一氏はこう批判する。
「自民党内で丁寧に議論を積み重ねて政策を決めていくのが通例だが、出国税は官邸からトップダウンで提示されたようです。議論が浅く生煮えで、結論ありきの進め方は、安倍政権の悪癖だ。党税制調査会はチェック機能を果たす必要があります」
 前出・鈴木氏もまた、こう提言している。
「観光向けに交通機関の割引の拡充や観光産業の人材育成など、中長期的に取り組む姿勢が必要だ。飛行機は往復で採算を取るため、便数を増やすためには海外旅行をする日本人を増やすことも重要だ」
 場当たり的な金策に走れば、訪日客増加の流れに水を差す逆効果ともなりかねない。
(河野嘉誠)

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