政治・社会詳細

News Navi
loading...

がん治療「新薬」開発競争が加速 薬価高額で医療費負担増の懸念

2017年10月 8日号

 がん治療薬の新薬「免疫チェックポイント阻害剤」を巡り、世界の製薬大手が開発競争を加速させている。スペイン・マドリードで9月8~12日に開かれた欧州臨床腫瘍学会では、英製薬大手「アストラゼネカ」が新薬で肺がんに一定の効果を示したと発表したばかり。参入企業は今後も増える見通しだ。
 免疫チェックポイント阻害剤は小野薬品工業の「オプジーボ」で話題になったがん治療の新薬。人間が本来持つ免疫機能に働きかけ、がんと闘う力を高める薬だ。すべてのがん患者に効果があるわけではないが、「がん細胞が着実に減少する患者も少なくない」と臨床医も注目している。
 同新薬市場では現在、オプジーボのほか、米メルクの「キイトルーダ」が先行している。この他の薬も近く承認される見通しで、今後も新薬の参入が続くと見られる。
 新薬はさまざまな種類のがんの治療に効果があると考えられ、国内では保険適用されるがん種が増えている。厚生労働省の部会は9月8日、オプジーボを胃がんの一部の治療に適用拡大することを了承している。これが承認されれば皮膚がん、肺がんの一部に続き6種類目となる。
 患者にとって、こうした新薬の登場は福音だ。国立がん研究センターの予測では、今年新たにがんと診断される患者のうち、胃がんは13万2800万人で、がん種別では2番目に多い。肺がんも12万8700万人で3番目。新薬を実際に使う患者は限られるが、患者数が多いがん種で適用拡大が進んでいることが分かる。
 問題は薬価である。1人当たり年間3500万円かかるとされるオプジーボは、医療財政の負担増が懸念され、薬価が半額に引き下げられた経緯がある。今後、参入企業が増え、がん種も拡大すれば、医療費の負担はより大きくなる。とはいえ、新薬を待つ患者は多い。薬とがん治療、財政負担を巡る問題は、より複雑さを増していくことになる。
(花谷美枝)

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

  • 艶もたけなわ

    黒田福美 女優・エッセイスト

    2017年11月19日号

    阿木燿子の艶もたけなわ 178   芸能界きっての韓国通として知られる女優の黒田福美...

コラム