政治・社会詳細

イチオシ
loading...

「真珠湾訪問」で勝負するのか!?安倍首相 「1月」奇襲解散の虚実

2017年1月 1日号

安倍首相が漏らした「不測の事態」発言の思惑


▼「1勝1分」外交、そして「3分2」割れの選挙予測
▼鳴り物入りの「日露首脳会談」の功罪
▼トホホな民進党「蓮舫・野田コンビ」の行き当たりばったり

 日露首脳会談では結局、「北方領土問題」の目ざましい進展はなかった。一時は「北方領土問題」の成果を睨(にら)んだ解散説が浮上したが潰(つい)えた格好だ。だが、年末の「真珠湾訪問」をバネにして「1月」奇襲解散も消えてはいない。その裏を気鋭のジャーナリストが読み解く。

「総理が『不測の事態にも備えるように』と役員会で言ったらしい。1月解散・総選挙の可能性があるということだ」
 こうした情報が自民党の、とくに若手議員の間で一斉に出回ったのは、臨時国会会期末が翌日に迫った12月13日の夜だった。
 非公開の役員会には確かに安倍首相も出席していた。国会は、カジノを含む統合型リゾート(IR)整備推進法案(カジノ法案)や年金改革法案などを巡って、与野党の攻防が激化。野党は、参議院で首相の問責決議案、衆議院で内閣不信任案提出も視野に入れていた。
 会合に出席した幹部に確認すると、こう明かした。
「確かに安倍さんは『不測の事態もあり得る』と言いました。それは、会期末のため、何があるか分からないという意味合いだったと思います。言葉が独り歩きして、選挙が心配な若手の間に『解散』という意味合いで伝わったんでしょう」
「だが......」と、この幹部は続けた。
「安倍さんは、実は手元のペーパーを見ながら『不測の事態』という発言をした。事前に用意していたということは、いろんな意味合いをもって広がることを計算したと思います。自民党幹部らの間では、総理は解散風が独り歩きしないようにグリップし直した、と見ています。つまり、『解散を決めるのは自分だ』と総理は言いたいのでしょう」
「解散風」は、臨時国会が始まった時から吹き始め、一時は年内解散説も浮上した。"早期解散説"の理由は明快だ。
「総選挙に大勝すれば、長期政権は確実。時間を確保したうえで、首相の悲願である『憲法改正』を成し遂げる」(首相側近)
「今、安倍内閣の支持率は60%前後と高いし、野党共闘も進んでいないからチャンス。この先、トランプ次期大統領が経済や日米同盟を引っかき回して、アベノミクスや安倍外交に悪影響が出るかもしれない。野党も時間があれば共闘は進む。解散するなら早いほうがいい」(自民党ベテラン議員)
 そうした中、『産経新聞』(12月15日付)が〈衆院解散1月見送りを安倍首相が決断〉と1面で報じた。今、選挙をやったら議席を減らすなど「解散のメリットはない」と首相が周囲に話したというのだ。
 また、私の取材では「天皇陛下の退位について、法整備ができる前に解散すべきではないと周囲が安倍首相に進言したそうだ。首相も同調している」(自民党幹部)との情報もある。
 それでも、自民党の閣僚経験のあるベテラン議員は、「1月解散」の可能性についてこう語る。
「安倍さんは周囲に、解散はないとのニュアンスの発言を何度もしています。産経報道などで、永田町では1月の解散風はいったんは止(や)む。だが最終的には年末年始の、得意の外交成果が安倍さんの心を動かすかもしれないと見ています」
 その意味するところは、外交で「1勝1分(わけ)なら、解散に踏み切る可能性がある」ということだ。
「『1勝』というのは、12月26、27日の真珠湾訪問。これは歴史的な成果でしょう。戦争の謝罪はしない、慰霊のためということでさまざまな議論はあるかもしれないが、オバマ米大統領と並んで不戦の誓いをすることは、世論の好感を得る。支持は上がります」
 そして、「1分」は12月15、16日にプーチン大統領が来日して行われた日露首脳会談だ。
 安倍首相とプーチン大統領の強固な個人的関係から今回、長年の政治課題だった北方領土問題が進展すると期待された。たとえ大きな前進はなくとも、北方領土の帰属や今後への具体的な進展などがあれば、それは「1分」。ある程度の評価は得られるということだ。つまり「1勝1分」なら、"解散の起爆剤"になるというわけである。

 ◇「解散を諦めるいいきっかけ」

 ところが北方領土問題については、会談前から政府関係者が「そう簡単な話ではない」とハードルを下げ始めた。日露のパイプ役として首相に協力してきた鈴木宗男・新党大地代表も、私と一緒に出演した情報番組「ゴゴスマ」(CBC、TBS系)で「1956年の日ソ共同宣言を再確認し、『平和条約締結と北方領土2島返還は今後の協議で』と道筋ができるだけで大成功」(12月13日)と目標を下げた。
 予想通り、会談の結果は「共同経済活動の協議を開始する。平和条約締結に向けた重要な一歩になる」というもので、北方領土問題は具体的に進展しなかった。
 前出の自民党ベテラン議員は「1分どころか、大敗。結局、1勝1敗だ。安倍さんの支持率アップにはつながらない」とした。しかし一方で、

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

  • 艶もたけなわ

    黒田福美 女優・エッセイスト

    2017年11月19日号

    阿木燿子の艶もたけなわ 178   芸能界きっての韓国通として知られる女優の黒田福美...

コラム