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「年金カット」「医療&介護負担増え」こんなに老後破産が急増する

2016年12月25日号

社会保障大改悪を許すな!
「年金カット」「医療&介護負担増」 こんなに老後破産が急増する

 衆議院で強行採決された国民年金法等改正案「年金カット法案」が参議院で審議入りし、12月14日までの会期内で成立する見通しだ。追い打ちをかけるように、政府は医療や介護の給付減&負担増メニューを打ち出している。このままでは「老後破産」が増大する。

 ◇老眼鏡も買えない 新ルールで厚生年金年14万円減

 埼玉県春日部市の築40年以上の団地に一人で暮らす伊藤千枝子さん(77)。直近の年金振込通知書を見せてくれた。今年10月の支給額は18万5942円(2カ月分)。介護保険料(同)6790円、後期高齢者医療保険料700円(同)がそこから天引きされる。
「共益費を含めて4万5000円の家賃を払って、電気やガス代、水道料金が多い月で9000円。電話代が月2500円に県民共済の掛け金5000円......。残り約2万9000円で1カ月間生活するんです」
 食料品は特売日狙いだ。
「2割引きの商品があっても"明日は半額になっているかも"と、ゲーム感覚で節約ビンボー生活を楽しむの。近くに住む妹のお下がりの新聞を読んで廃品回収に出してトイレットペーパーに替えると買わなくて済む。いろんな知恵がついて本が1冊書けそうよ」
 伊藤さんはそう笑い飛ばす。暖房代節約のため、部屋の中でもブルゾンを着込み、晴れた日は布団を日に当てて暖かくする。それでも寒い日は湯たんぽを抱えて過ごす。テレビはない。小型ラジオを聴いて世間に遅れないようにしている。
 伊藤さんは50歳から62歳まで社員寮で住み込み寮母として働き、月収は20万円ほどだった。それが今の年金額につながっている。
「60代は公共施設の清掃やシルバー人材センターの夜勤の仕事をしました。70歳になると働き口がなくなり葬式代にと少しずつためた貯金もなくなってしまいました。今は2人の息子から2万円ずつ援助してもらっています。子どもたちも自分たちの生活で精いっぱいだから申し訳なくて......」
 今、伊藤さんが欲しいものは老眼鏡だ。「52歳の時に作った老眼鏡を今もかけているから、度が合わなくて好きな本が読みづらいの。でも、この年金額じゃ、とても買えないわ」
 年金カット法が実施されれば、さらに年金は減り、伊藤さんのように困窮する高齢者が激増することは間違いない。法案についておさらいしておこう。現行ルールは高齢者の暮らしに配慮し、物価が上がれば賃金が下がっても年金額を据え置き、デフレ下で物価より賃金の下落幅が大きい場合は、物価に合わせて改定される。これを、いずれのケースでも賃金に合わせて改定されるようにするのが新ルールだ。5年後の2021年から適用するという。
 政府は、新ルールのもとでも老後の生活は「おおむね賄える」というが、各世代の年金額にどう影響するか、明確な試算を示していない。民進党の玉木雄一郎衆院議員は批判する。
「政府は年金財政をバランスさせることの重要性ばかりを強調しますが、実際に支給される年金額で生活できるのか、最低限の生活を保障する最低保障機能を有しているかどうか、の視点が抜け落ちている」

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