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陥没事故招く上下水道の老朽化 水道事業赤字で整備ままならず

2016年12月11日号

 11月8日、福岡市のJR博多駅前で起きた大規模な道路陥没事故は、復旧作業の迅速さを称(たた)える海外メディアの報道ばかりが目立ったが、安心するのは早い。同じような陥没事故が今後、各地で頻発する可能性がある。上下水道管の破損でも、陥没事故は起こり得るからだ。
 実際、水道管破損による陥没が全国で1日10件以上、年4000件以上も起きている。
 原因は、水道管の老朽化だ。特に下水管では汚水から出る硫化水素が管を腐食し、穴が開きやすい。管は空洞部分が多いため、そこに地下水とともに周辺の土砂が浸入すれば、下水管は土砂を運ぶトンネルと化し、陥没を引き起こす。「近くにある古い上水管でも漏水が起きていれば、"相乗効果"で大規模な陥没事故に発展する可能性がある」(水道に詳しい吉村和就・グローバルウォータージャパン代表)
 こうした最悪シナリオは決して絵空事ではない。総務省が調査した19の水道事業体では、法定耐用年数(40年)を超えた水道管路網は2020年に37%、30年では約60%に増加するというのだ。
 ところが、日本の水道事業運営を担っている地方自治体は、人口減少による水道料金収入の減少で水道事業の赤字が続いている。水道料金収入は、2000年代半ばから年平均で数百億円単位で減少しており、今後も加速度的に減っていくと予想されている。
 厚生労働省によると、水道管の交換、浄水場の設備更新などに必要な費用は、20~25年に年間1兆円規模に達し、25年以降には老朽化対策に必要な資金が不足すると見られている。またNPO法人「日本水フォーラム」の調査では、水道事業の赤字転落回避のために、すぐにでも50%近い値上げが必要な自治体は30ある。中でも千葉市は2倍、千葉県市原市などは3倍の値上げが必要と試算されている。
 水道料金値上げは願い下げだ。とはいえ、陥没事故防止のためには水道管の老朽化対策は急務なのだ。
(大堀達也)

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