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「夢のバイオ技術」食肉培養研究

2016年11月27日号

「夢のバイオ技術」食肉培養研究 日本人研究者が挑む「食卓革命」

 中国の「爆食」をはじめ、世界の食肉需要が拡大すれば価格高騰は避けられず、消費者を直撃する。解決策として脚光を浴びているのが、実験室で肉を量産する夢のような技術、すなわち食肉の培養。動物から取り出した細胞を培養液で増やす技術のことだ。
 もちろん課題はある。高価な培養液が必要なため、2013年にオランダの研究者が発表した「培養ハンバーグ」では、200グラム弱分の培養に25万ユーロ(約3000万円)かかった。近年の研究では、肉200グラムで100万円弱までコストダウンが進む。実用化の目安となる「200グラム当たり60円」を目指し、世界中の専門家がしのぎを削る。
 そうした中、培養肉の実用化に邁進(まいしん)する若き日本人研究者がいる。羽生雄毅さん(31)だ。英オックスフォード大学で博士号を取得、食肉培養研究のため15年1月に勤務先の東芝を退社。現在、一人で会社を立ち上げ研究に取り組む。
 羽生さんによると、200グラム当たり5万円までコストを下げることに成功し、「5年後をめどに実用化を目指したい」。年収60万円。得意の画像制作で日銭を稼ぐ日々だ。
 欧米では数億円単位で資金調達をする培養肉ベンチャーが登場し、羽生さんは資金面では到底かなわない。
「肉の培養技術は醸造技術に似ています。酒やみそ、しょうゆなどの技術の蓄積がある日本の技術をかき集めれば、シリコンバレーに対抗できるはずです」(羽生さん)
 実際、食肉を巡る情勢は厳しさを増している。たとえば牛肉。9月に中国が米国産牛肉の輸入を13年ぶりに再開すると発表、牛丼などに使用される米国産ショートプレート(ばら肉)の価格が11月までに1割上昇した。中国の「爆食」は世界の食肉価格を押し上げてきたが、今後は世界人口の増加などを背景に値上がりが続くとみられる。
 羽生さんの技術が「食卓革命」を起こすことを願わずにはいられない。
(花谷美枝)

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