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やってはいけない相続対策

2016年11月27日号

改正から2年 泣いている人続出中

 2015年1月、相続税が改正された。「普通のサラリーマンでも相続税を払わなければならなくなる」と盛んに喧伝され、慌てて相続税対策に走った人たちが泣きをみるケースが出てきている。どんな落とし穴があり、何に気をつければいいのか。

「相続バブル」――。開業税理士の集団「ウーマン・タックス」の代表取締役で税理士の板倉京さんは、不動産業者や金融機関が相続ビジネスに参入し、至る所で相続セミナーが満員御礼となっている現状を「バブル」と表現する。
「相続税なんて関係ない、と思っていた人が、自分にもかかってくるかもしれないと慌てて駆け込んで来るなど、私の事務所でも相談件数が倍増しました。しかし、制度改正から約2年がたとうとする今、『なぜこんな間違った節税対策をしてしまったのか』と同情したくなるケースが数多く見受けられるのです。"にわか専門家"に節税対策をあおられ、逆に資産を減らしてしまっているのです」
「平成の大増税」とも呼ばれた相続税改正を振り返ってみよう。改正の目玉は、基礎控除額(課税対象から差し引かれる一定額)が従来の6割まで引き下げられたことだ。課税対象者が1・5倍に増えるとされる。
 税金がかからない非課税枠が「5000万円+(1000万円×法定相続人の数)」だったのが、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」と40%も縮小された。差し引くことができる金額が減るということは、それだけ課税される財産が増えるということを意味する。
 たとえば夫と妻、子ども2人の4人家族で夫が亡くなった場合、財産が8000万円を超える人にだけかかっていた相続税が、改正後は4800万円を超える財産があると税金を払わなければならなくなった。
 庶民にとって4800万円はかなりの高額に思えるが、板倉さんはこう話す。
「首都圏に一軒家を所有していれば、優に達する金額です。その意味で、相続税は一部の資産家だけでなく、ごく普通の人たちにとっても無縁でなくなりました」
 ただ、相続税にはさまざまな控除措置があり、生前に対策を講じなくても税金がゼロで済むケースもある。
「自分がいくらの相続税を払わなければならないかをじっくり精査せず、税対策だけに奔走した結果、家族間で争う事態になったり、遺族が従前の生活を続けられなくなる悲劇を招いているのです」(板倉さん)
 現在も、土地活用を指南するセミナーは大盛況で、都市も地方もアパート建設が止まらない。「相続バブル」がもたらす被害に巻き込まれないためにも、いかなる"過ち"を犯しやすいのか、みていこう。

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