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小池百合子都知事 「女帝劇場」の恐るべき権謀術数

2016年11月13日号

小池百合子都知事はなぜ自民党を離党しないのか!=ジャーナリスト・鈴木哲夫

 ■豊洲新市場石原慎太郎回答書の欺瞞
 ■小池政治塾に4000人の"情報戦争"
 ■安倍首相二階幹事長との蜜月の深層

 小池百合子・東京都知事(64)の進撃が止まらない。豊洲新市場、東京五輪問題―。だが、不可解なことがある。都知事選では「自民党候補」に勝利した小池氏だが、なぜ、自民党籍のままなのか。その深層には小池氏の「権謀術数」があるのだ。

「私のツイッター、フェイスブックでお知らせしているだけですが、4000人を超える方がご参加の見込みです」
 10月23日、小池百合子・東京都知事は、同30日に開講する自身の政治塾「希望の塾」の参加人数について、記者団にそう明かした。衆議院東京10区補欠選挙で若狭勝氏が当選した際、選挙事務所に祝福に駆け付けた時の発言だ。
 この「4000人」という数は、当初の1500人程度という事務局の予想を遥(はる)かに超えるもので、取材記者たちを驚かせた。
 そもそも東京10区補選は、自民党に反旗を翻して小池氏を応援した若狭氏を自民党本部が"公認"して勝利した。ところが、同じく知事選で小池氏を応援した練馬区や豊島区の自民党区議7人については、離党勧告という矛盾した処分が出た。
 このため、当選した若狭氏は記者会見の場で、この7人の処分の撤回を改めて主張した。若狭氏は、
「私が小池さんを応援したことは、区議たちとまったく同じ。7人が処分されるなら、私が自民党の衆院議員をこのまま続けるというのは、私の人生観ではあり得ない」
 と述べた。つまり、7人の処分次第では離党も辞さない覚悟だということだ。
 こうした小池氏や若狭氏の発言は、ネットニュースや翌日の新聞報道などで、以下のような記事となった。
「若狭氏の当選は小池人気が依然強いから」「7人の区議の処分次第では、若狭氏自ら離党する可能性」「若狭氏は小池新党に参加するのか」――
「小池新党」が一つのキーワードになったのだ。
 実はここに、小池氏サイドの隠された「情報戦」が見て取れる。小池氏の民間ブレーンが明かす。
「選挙の2日前の知事定例会見で、政治塾への参加人数を聞かれたのですが、小池さんはハッキリ答えなかった。政治塾の事務方とは密に連絡を取り合っていますから、当然人数は知っていたはず。4000人という数字は、若狭さんの当選のタイミングに合わせて公表したということです。案の定、メディアは若狭さんの当選だけでなく政治塾をクローズアップして、『次は小池新党』と大々的に報じられることに成功した。新党を警戒する人たちに対して、効果は抜群。小池さんのメディア戦略の真骨頂といっていい」
 小池氏と対峙(たいじ)する都議会自民党幹部は苦笑する。
「敵ながらケンカ上手だ。タイミングを計って大きく取り上げられるように計算している」

 ◇"仮想敵"は「石原慎太郎」

 この幹部は、東京五輪の施設見直しでも小池氏のメディア戦略の例として、こんなことを挙げる。
「最もシンボリックなものは、海の森水上競技場のボートとカヌーを宮城県の長沼に持っていくというもの。小池知事は、知事選の前から遠藤利明前五輪担当相と話をして、"復興五輪"として被災地に競技を持っていくことに熱心だった。そうした中、テレビで小池知事が映る五輪の施設関連ニュースで必ず出てくる映像は、海の森予定地を小池知事が視察したものばかり。他の視察は、知事サイドが撮影させなかった。つまり、海の森視察の映像を常に流し続けることが、世論に訴えるためのメディア戦略なのです」
 確かに、小池氏の最大の支援者は党派を超えた世論の支持だろう。豊洲新市場でも、世論を意識して仕掛けている戦略がある。
 汚染土壌対策として専門家会議が提唱した「盛り土方式」が勝手に変更され、その事実が隠ぺいされた問題――。小池氏は石原慎太郎・元東京都知事からの文書による回答を公表した。
 都庁幹部の中には、「今後の調査を考えれば、微妙な問題もあるので全面公開はどうか」との意見もあったが、小池氏は「公文書のたぐいなので(全面公開は)問題ない」とした。これも「情報公開を売りにする小池知事のアピール」(前出・自民党幹部)だという。
 ちなみに、石原氏からの回答は「記憶にない」「(文書などを)見ていない」「聞いていない」が大半。小池氏はこれらを公にしたうえで、今度は「再び石原知事への質問状やヒアリングを検討する」とした。
 こうした小池氏の戦略について、小池支持の都議会のベテラン幹部が言う。
「豊洲問題を追及する姿勢を見せることが狙いでしょう。当時の石原体制は、側近らが支え、ご本人は最後に決断するパターンが多かった。実際、石原さんが当時のことを細部にわたって覚えているか怪しい。これ以上、石原さん本人に聞いても真実は出てこないとなれば、側近らへの聴取に変更したほうが実効性はあるはず。しかし、石原さんに再び質問状を出したり、聞き取りなどを行うことで小池さんへの期待は継続する。都議会も特別委員会が始動しますから当面、『石原知事』をターゲットにし続けるのでしょう」
 ちなみに本誌10月16日号で、〈盛り土変更は、石原知事が週1回開いていた少人数の側近や幹部のランチミーティングで、(盛り土をやめて)"もっと安い工法を"という話が出たのがきっかけ〉との内容をスクープした。実際、石原氏が小池氏に宛てた文書の中で、「週に1度の昼食会だったかで都の幹部らと話した記憶はあります」と回答している。ランチミーティングに参加していた実務の都庁幹部や側近らから聴取することは事実解明に大きく前進するのは間違いないだろう。
 いずれにしろ、小池氏は世論を見据えながら、メディア戦略を駆使したり、石原氏を"仮想敵"にするなど、「女帝劇場」を繰り広げている。一方、安倍政権や自民党とのしたたかな駆け引きにも、その恐るべき「権謀術数」が隠されている。
 実は、小池氏に対しては、大きな疑問がある。都知事選では自民党と戦ったのに、なぜ自民党籍をそのままにしているのか、自民党を離党しないのか――。講演や勉強会などの場で、私によく浴びせられる質問だ。
 小池氏は、自民党本部の二階俊博幹事長とは知事選直後から接触し、安倍首相とも笑顔で握手している。「アベノミクスは支持している」「官邸や党本部とは、いい関係を続けたい」などと公言している。確かに、これは分かりにくい。
 だが、知事周辺や首相側近、自民党幹部などを取材すると、一見「蜜月」に見える関係も、その深層には双方の思惑、したたかな駆け引きがあるという。

 ◇小池知事は何をしたいのか!

 豊洲新市場や五輪問題という個別テーマに直面している小池氏だが、そもそも何のために都知事になり、何をやり遂げようとしているのかを押さえておく必要がある。小池氏を長年ウオッチする自民党ベテラン議員が言う。
「なぜ、小池さんが国会議員を辞めてまで都知事を目指したか。ズバリ???

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