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全国民必読 大地震に弱い町 首都圏編

2016年5月22日号

 熊本地震では49人の命が奪われた。8割が建物倒壊による死者という。もし人口が桁違いに多い首都圏を大地震が襲ったら―。1都3県が公表する地震被害想定は、最悪ケースで「死者数万人」の自治体が出現するという衝撃的な内容だ。この結果をどう受け止めるべきか。

 首都圏1都3県はそれぞれ地震被害想定を公表している。東京都、神奈川県、埼玉県は東日本大震災後、新たな被害想定をまとめ、千葉県は6月に公表する予定だ。千葉県の被害想定づくりに加わった千葉科学大危機管理学部の藤本一雄教授(地震工学)は言う。
「大震災までは、今後数十年間で一番切迫性のある地震を想定する傾向がありました。大震災後は数百年や千年単位の周期で起こり得る地震も想定に入れ、"最悪ケース"を意識するようになっています」
 東京都の場合、前回2006年の被害想定は、「東京湾北部地震」「多摩直下地震」の両ケースを想定していた。12年公表の最新版は「元禄型関東地震」「立川断層帯地震」を追加。前回想定から引き継いだ2地震についても、新たな知見や科学技術の進化を踏まえて内容を改めたという。その結果、06年の想定は「東京湾北部地震」で約6000人が死亡するとしたが、12年の想定は同じ地震で約9700人が死亡するという。地震規模はいずれも阪神・淡路大震災と同じマグニチュード(M)7・3だが、最新の想定の方がより厳しい内容に変わっている。
 神奈川県も09年に公表した想定の9ケースから、15年公表の最新版では11ケースに増やした。最悪ケースは「相模トラフ沿いの最大クラスの地震」。想定する地震規模はM8・7と、東日本大震災(M9)に匹敵する超巨大地震だ。
 同県の想定では、建物の倒壊や火災により約4万人が死亡し、さらに津波により11万人以上の命を奪う。合計すると約15万人が死亡するという衝撃的な結果だ。もっとも同県の被害想定報告書によれば、「2000年から3000年、あるいはそれ以上の発生間隔」で起きる地震だという。それでも被害想定に盛り込んだのは、東日本大震災で地震や防災の専門家たちが「想定外」を乱発せざるを得なかった反省からだろう。
 本誌は今回、1都3県の被害想定に載る「最も死者数が多いと想定される地震」を選び、各市区町村で想定される人口1万人当たりの死者数(左の表)と、建物の全壊・焼失棟数(173ページの表)を計算した。
 ここで断っておくが、1都3県の被害想定は同じ地震とは限らず、都県をまたいだ比較に意味はない。また、前述の通り、神奈川県の最悪ケースは、近い将来に発生する可能性は低いとされる。明治大大学院の中林一樹特任教授(都市防災学)は、データの読み取り方についてこう話す。
「首都直下地震の震源がどこになるかは分かりません。東京都は東京湾北部地震と多摩直下地震を想定していますが、必ずどちらかになるのかも分かりません。武蔵野直下かもしれないし、杉並直下、板橋直下かもしれない。それを全部、被害想定できればいいのですが、現実はそうもいかないので便宜上、震源を決め打ちしてあるのです」

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