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熊本大地震と日本の未来 大地震で生死を分ける 都道府県格差全調査

2016年5月 8日号

 山は崩れ、大地は割れ、家はつぶれた。熊本大地震で命を落とした人は48人、避難中に体調が悪化して亡くなった人は11人に上る(4月23日現在)。今、再び地震への備えを点検する時だ。防災拠点や住宅の耐震化、生存を左右する医師の数は十分か。「都道府県格差」を検証する。

 地震は予知できない。国の地震調査研究推進本部はサイトで、〈現在の地震学では、地震の規模やその発生日時を正確に予測することはできません〉と認める。それでも、今後、地震が起きる可能性を日本中のプレート境界や活断層ごとに「長期評価」として発表している。4月14日夜の「前震」と16日未明の「本震」が発生した活断層も評価の対象だった。
 しかし、その内容といえば、前震が発生した活断層で今後、大地震が起きる可能性は〈不明〉、本震は〈今後30年間にほぼ0~0・9%〉(今年1月現在の評価)。長くて100年ほどしか生きない人間にとっては実用性のない数字だろう。
 地震は予知できないが、大地震は日本中のどこでも発生し得る。それだけに地震に対する備えが生死を分ける。都道府県ごとの現状を認識しておきたい。
 まず、消防庁が昨年12月に発表した「防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査結果」に載るデータが左ページの表(1)~(4)だ。表(1)の「防災拠点」とは、地方自治体が所有または管理する学校▽病院▽公民館▽社会福祉施設▽庁舎▽警察署▽消防署など各施設の平均だ。調査によれば、全国の耐震化率は88・3%だった。東日本大震災の2011年より9ポイント、新潟県中越沖地震の07年より15・8ポイントアップしている。
 しかし、都道府県の格差は大きい。トップの東京都では耐震化がほぼ完了した一方、47位の広島県では防災拠点4件に1件は耐震性を満たしていない。ここでいう「耐震」とは、1981年6月以降の建築確認申請に適用される建築基準、いわゆる「新耐震」を満たしている状態をいう。明治大大学院の中林一樹(いつき)特任教授(都市防災学)は、次のように説明する。
「建築基準法1条にある通り、新耐震は『最低の基準』。つまり、『これを下回る物は建ててはいけない』という意味で、おおむね震度5強ではほとんど人的被害を出さず、震度7だと建物は大破しても人の命を奪わないことを目標としています」
 都道府県の分布を見ると、上位10都府県のうち7都県は首都圏と東海地方にある一方、下位10道県中7県は中四国勢。特に瀬戸内海に面する広島、愛媛、岡山の各県が下位に目立つ。
「地震をどれだけ意識しているかで差が出たと考えられます。東京都は関東大震災を経験し、過去30年来、首都直下地震が注目されました。東京湾を埋め立てる際も、他県では環境問題が焦点になることが多いのに、都内では必ず『地震は大丈夫か』と声が上がる。地震に対して敏感なのは東海地震が想定される東海地方も同じです」(中林氏)
 中四国では芸予地震(01年)で広島県呉市に被害があったが、近年あまり大きな地震が起きていない。
「中四国や九州では、災害というと台風や土砂崩れが優先されやすく、公共施設の耐震化は先送りになりやすかったのでしょう」(同)

 

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