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京都大・今中助教 反原発の信念貫き今春退官へ

2016年2月28日号
 原発の危険性を訴える取り組みから「熊取六人組」と呼ばれた京都大原子炉実験所(大阪府熊取町)の教官で、最後の現職となった今中哲二助教(65)が2月10日、原子力安全問題ゼミの最終回(112回)で退官講演を行った。
 今中氏は1976年以来、同実験所に勤務、原子力利用の危険性を指摘し続けたが今春、定年退職を迎える。
「原発は事故を起こす可能性があることを最初に示したのが79年の米スリーマイル島原発事故」など歴史を振り返りながら、福島原発事故に触れた。
「福島では除染と称して環境を破壊している」などと指摘し、さらに「東海村のJCO臨界事故(99年)で役人の対応を見て、『次に大事故があれば隠蔽(いんぺい)するな』と感じた」という。今中氏は飯舘村で綿密な被ばく調査を行い、"原子力ムラ"の過小評価を暴いた。
 参加者の女性が「これからも飯舘村の人たちに寄り添ってください」と訴えると、「寄り添っているつもりは全くありません」と、あくまで客観的に科学的事実を追求する今中氏らしい答えを返した。それでも、86年に事故が起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発に再三足を運んだ今中氏は、「ロシア語が使える私でも、汚染地の農家のおばあちゃんの真の気持ちはわからなかった。そうした人の気持ちが福島で初めてわかった気がする」とも打ち明けた。
 ゼミは四国・伊方原発訴訟などに参加していた今中氏をはじめとする同実験所所属の「六人組」=小林圭二氏(76)、海老澤徹氏(77)、川野真治氏(74)、瀬尾健氏(故人)、小出裕章氏(66)=を中心に80年から開催。市民に国が進める原子力政策の問題点を教えてきた。
 昨年退官した小出氏に続く退官となった今中氏。6人とも助手、講師、助教、助教授止まりでの退官だった。「自由にやらせてもらえた。今後も専門家としてお役に立ちたい」(今中氏)。反骨の科学者は健在である。
(粟野仁雄)

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