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原発事故機に"官民"の構図一変 経産省「石油業界」介入の舞台裏

2015年7月12日号
 福島第1原発事故の影響は、放射能汚染や風評被害に限らない。事故を機に、経産省の石油・エネルギー業界への「反転攻勢」が始まっている。
 橘川武郎(きつかわたけお)・東京理科大教授の新著『石油産業の真実―大再編時代、何が起こるのか―』(石油通信社新書)は、石油産業の構造問題を解析するカギの一つに原発事故があると指摘。自由化にさらされる電力・ガス業界に対し、既に特石法廃止で自由化されている石油業界に介入し、業界再編を強いる構図が浮かび上がる。
 著者は原発事故以前の東京電力は、経産省にとって「目の上のコブ」で、一大プロジェクトだったサハリン天然ガス・パイプライン計画も、原発推進を背景に電力業界の抵抗で頓挫したと振り返る。ところが、原発事故で構図が一転。電力業界は国に圧力をかける側から国に叩(たた)かれる側に変わり、経産省も地域独占の電力業界の解体に踏み切った。ところが、電力業界を叩く側に回った経産省は、返す刀で石油業界に介入を始め、製油所の統廃合、企業合併を誘導しているというのだ。
「たとえ異論があろうとも、経産省はエネルギー政策面での主導権を断固貫くという方針に転じたのであり(中略)その表れが、たまたま電力・ガスでは自由化、石油では法的介入という異なる形をとったに過ぎない」「経産省が自らの力を誇示するという点では、同じコインの裏表だといえる」(同書より要約抜粋)
 権力維持のため、さらには官僚の点数稼ぎにエネルギー政策が弄(もてあそ)ばれているのだ。著者の橘川教授は、電源構成を検討する同省の有識者会議の委員も務める。原発再稼働と40年廃炉ルールの形骸化を前提とする政府案に、橘川教授は最後まで反対した。『毎日新聞』(6月16日付夕刊)で、かつては"電力の犬"みたいに思われていたという自身をこう振り返っている。
「僕はただ、学者として誠実であろうとしているだけ」
 震災の教訓はどこへ消え去ったのか。
(上川裕治)

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