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「集団的自衛権」行使容認の深層

2015年5月 3日号

彼らは何を思い、苦悩しているのか! 自衛隊の「リアル」第1弾

 ◇自衛隊の「リアル」第1弾=毎日新聞社会部編集委員・滝野隆浩(防大卒)

▼「死」に最接近した能登半島沖「不審船事件」を再現

 昨年7月、「還暦」を迎えた自衛隊。発足61年の今年は、安倍政権が突き進む集団的自衛権行使容認でまったく新しい歴史を刻み始める。安全保障政策の大転換で、自衛隊はどう変容するのか。防衛大卒の毎日新聞社会部編集委員が隊員たちの「リアル」、本音に迫る。

 年表は歴史を映さない。短い記述からは、確かにそこにあった苦悩も恐怖も悲
しみも、浮かび上がらない。わずか16年前の出来事であっても――。
『防衛白書』巻末の防衛年表。その「1999年」の欄の最初に、短くこうある。
〈3・23 能登半島沖不審船事案(3・24海上警備行動発令)〉
 当時、私は担当記者として、東京・六本木の防衛庁(当時)に毎日通っていた。前日、神奈川県横須賀市にある防衛大学校の卒業式を取材して、翌日の〈3月23日〉を迎えた。海自の護衛艦が北朝鮮の不審船を追跡。一緒に後を追っていた海上保安庁の巡視船が脱落したことを受け、翌24日、「海の治安出動」といわれる海上警備行動が初めて発令された。取材記者として緊迫した2日間を経験したのだが、実はこの日をきっかけに自衛隊の性質をがらりと変えることになった。
 端的に言おう。この日、自衛隊は創設以来、最も「死」に接近した。目の前にそそり立つ「死」に組織は震撼(しんかん)しうろたえた。そして事件を教訓に、自衛隊は特殊部隊を創設。コントロールが困難な部隊を持ったことで変容を始めることになる。このことを私が知ったのは、事件後10年ほどたってからであった。
 自衛隊の実情を知らなければ、これから国会で始まる集団的自衛権「行使容認」に伴う安保関連法案の議論は深まらないと考える。実際の行動主体である自衛官が何を思い、考え、苦悩しているかを理解しないと、議論はカラ回りする。もっと言えば、彼らの思いを理解することなしに議論してほしくない。防衛大学校を卒業し記者になり、3度の防衛担当を経験した私の、切なる願いだ。
 3部構成で自衛隊の「リアル」を考えたい。第1回は、部隊が「死」に最接近した能登半島沖不審船事件の際、護衛艦「みょうこう」の航海長だった伊藤祐靖(すけやす)・元2佐(50)の証言から現場を再現していく。

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