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「官邸VS.沖縄」ついに火の手

2015年4月12日号

辺野古移設「強硬姿勢の応酬劇」の実相=ジャーナリスト・鈴木哲夫

 ◇このままでは「内乱」になる!

 米軍普天間基地の辺野古移設をめぐって、官邸と沖縄が抜き差しならないバトルを繰り広げている。埋め立てをめぐって、国と県が法廷闘争も辞さないという、前代未聞の事態となりそうだ。このままでは「流血事態」も必至という状況。まさに非常事態である。

▼「面会拒絶」を続けた官邸の思惑

「作業を中止する理由は見当たらない」
 菅義偉官房長官がそう言えば、「腹は決まっている」と応酬する翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事――。
 ヒートアップした両者の言い分は、もはや歩み寄りが不可能なのか。
 沖縄米軍普天間飛行場の辺野古沖移設について、岩礁破砕許可区域の外側でサンゴなどを破壊している可能性があるとして、翁長氏は3月23日、海底ボーリング調査など一連の作業を停止するよう沖縄防衛局に指示した。これに従わなければ、昨年8月に県が仲井真弘多(ひろかず)前知事時代に出した岩礁破砕許可を取り消すとした。
 つまりこれは、辺野古沖の埋め立ては認めず、ほぼ白紙に戻すということだ。
 翁長氏が「指示」を出した根拠としては、岩礁破砕許可に伴う規定で、「公益上の理由により(県が)指示する場合は従うこと」とあるからだ。
 対して、菅氏は真っ向から対決姿勢を見せた。
 仲井真前知事時代、県は臨時制限区域にブイなどのためのコンクリートブロックを投下することに問題はないとの立場を示していたとして、翁長氏の指示後も調査作業などを継続。しかも、関係法令を所管する農水省に防衛局は「指示の執行停止」を申し立てた。
 沖縄問題の矢面に立っている菅氏の言葉はいつになく強く激しく冷徹だった。
「この期に及んで甚だ遺憾」「(知事の指示は)違法性が重大かつ明白で、無効だ」
 菅氏周辺は「本裁判になっても100%勝てる。もっとも、司法手続きで長引いている間に工事は終わるだろう」と菅氏を後押しするように言い切った。
 しかし、である。菅氏の言葉を額面通りに受け取って「政府は、法的措置でこの問題に決着をつけることを決めた。もはや対話も何もない」と解釈するのは早計ではないか。
 何よりも、私は菅氏の言葉や態度に違和感を持つ。これまで本誌でもたびたび菅氏にインタビューしてきたが、「(普天間基地移設については)法に則(のつと)って粛々と進める」としながらも、「沖縄の理解も得ながら」と必ず付け加えていた。また、菅氏が沖縄問題に対して水面下で「沖縄の理解を得るために動いてきた事実」も取材で見えていた。
 こうしたことを考えれば、今回の「応酬劇」の実相を冷静に分析するべきだろう。
 菅氏は官房長官就任時、沖縄問題に並々ならぬ関心を持っていた、敬愛する梶山静六元官房長官(故人)の墓前で「沖縄問題の解決を誓った」(菅氏に近い議員)とされる。梶山氏が沖縄と対話を続けてきた姿勢同様、菅氏も「オスプレイ訓練や米軍基地機能の分担など、目に見える形での沖縄の負担軽減」に尽力してきたのは事実だ。
 菅氏は否定しているが、"県外移設先"は私が取材した限り、鹿児島県の離島、東北の被災県の二つがある。離島については、防衛省幹部や官邸関係者らを調査に出向かせている。被災地は超党派で検討を重ねている。このほか、オープンになったものとして佐賀空港もある。いずれも、菅氏自らが先頭に立って調査し、受け入れの可能性を積極的に探ってきた。しかし、現段階ではどれもうまくいっていない。
「佐賀空港が象徴的です。今年1月の佐賀県知事選挙の時、候補の一人が菅氏を訪ね、『オスプレイを受け入れるから自民党の公認が欲しい』と。この候補については地元自民党の反対などがあったにもかかわらず、沖縄のことが頭にあった菅氏は『オスプレイ受け入れ』の一点で公認を決めた。ところが選挙は敗北。新知事はオスプレイ受け入れには慎重です」(自民党閣僚経験者)

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