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作品に込めた温もりと厳しさ 童話作家松谷みよ子さん逝去

2015年3月29日号

「いないいないばあ」「モモちゃん」シリーズなどの作品で親しまれてきた児童文学作家の松谷みよ子さんが2月28日、老衰のため亡くなった。89歳だった。
 1941(昭和16)年12月8日、太平洋戦争が開戦すると、いつ死ぬかわからない恐怖と不安を童話にして綴(つづ)り始めた。女学生時代のことである。数年後、大学ノートに書きためた原稿を見てもらうため、長野県に疎開していた児童文学作家の故・坪田譲治氏を訪ねた。これらの作品群を基とした『貝になった子供』は坪田氏の推薦もあり、第1回日本児童文学者協会新人賞を受賞。作家として歩み始めた。

広島の被爆者を描いた『ふたりのイーダ』、ナチスのユダヤ人迫害をテーマとする『私のアンネ=フランク』など、多くの作品で貫かれているのは平和や反戦への強い意志である。児童文学作家の和田登さんは「法華経や岡本かの子(小説家、歌人)の仏教思想にかなり影響を受けた」と、松谷さん自身から聞かされたことがある。
「心のきれいな子はまた生まれるまで、白い貝になって海の底にいるのよ、ということを語るシーンが『貝になった子供』に出てきます。これは生生流転、輪廻転生を松谷さん流に表現された一節と受け止めました。人間は古代から受け継いだ魂を未来につなげていく存在である。現代もその一端だ、という思いがあったと思います」(和田さん)
 一方、各地の民話を求めて全国を採訪した。信州の民話を集めて作品に結実させたのが、国際アンデルセン賞優良賞を受けた『龍の子太郎』だ。
「作品の根幹に民話があり、それを平和などの普遍的なテーマに広げたのが松谷先生の作品です。各地で脈々と受け継がれてきた民話を、一つ一つ拾い上げた功績は大きい」(松谷みよ子常設展示室がある長野県信濃町の「黒姫童話館」担当者)
 両親の離婚や愛する人の死など、温かさの中にも現実の厳しさをきちんと描いた。合掌。
(高城龍二)

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