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コロナのせい? インフルエンザワクチンが足りない

2020年11月29日号

▼ワクチンを求める人が医院に殺到したこれだけの理由

▼インフル発生「記録的な低下」は新しい生活様式の効果か

 新型コロナウイルス用のワクチンが実用化に一歩近づいた。開発している米製薬大手ファイザーが前向きな発表をしたのだ。一方、国内では季節性インフルエンザ用のワクチンが不足。希望者全員に行き渡るのか。新型コロナとインフルエンザが同時流行する恐れはあるのか。

「ワクチンの有効性は90%を超えた」

 ファイザーと独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックは11月9日、両社が共同開発している新型コロナ用のワクチンに関し、そう発表した。あくまで臨床試験の中間評価だが、コロナ禍を抜け出すために不可欠なものだけに期待が高まる。

 その前日、筆者は父(84)から「ワクチンがどこの医療機関にもないんだ」と連絡を受けた。もちろん新型コロナ用ではない。父は11月半ばに腰椎(ようつい)の手術を控え、入院前にインフルエンザ用のワクチンを受けようとしていた。東京駅から電車で40分ほどの東京都A市にある医療機関に片っ端から電話したという。

「10件問い合わせ、やっと11件目が接種してくれるというんだ」

 父が問い合わせたB総合病院のウェブサイトには、こんな説明があった。

〈(小児科・産婦人科を除き)10・11・12月分のインフルエンザ予防接種予約は予定数に達したため受付を終了しました。追加で入荷した場合、ホームページでお知らせをいたします〉

 一部の市町村は10月1日、65歳以上の高齢者に無料でインフルワクチンの接種を始めた。筆者がB総合病院に電話すると、「10月1日を境に問い合わせが急増し、ワクチンの在庫不足が続いている」という。ただ、サイトの案内とは異なり、実は来院すれば「緊急性の高い方」には接種しているという。

 インフルワクチンの不足はA市に限った問題なのか。いくつかの医療機関に聞いてみた。

 東京都渋谷区のみいクリニック代々木の宮田俊男院長によると、同クリニックでは11月10日、今年分の予約の受け付けを終了した。

「注文したワクチンは週1回ずつ小分けして届くため、いったん予約の受け付けを休止しては再開するといった形で接種しています。ワクチンの卸売業者が各医療機関の前年実績に応じて、供給量を決める仕組みになっており、そうせざるを得ません」

 接種を希望する人が例年より増えているという事情もある。

「いつも診察を受けに来る人に限らず、世代を超えて新規の患者が増えた印象があります。場所柄もあるのか、20~40代が案外多かったですね。インフルエンザと新型コロナの初期症状は見分けがつけにくいため、『長期出張を前にせめてインフルに感染するリスクをなくしたい』と話す若い方もいました」(宮田氏)

 厚生労働省は毎年夏、インフルワクチンの供給量を都道府県に通知している。昨年8月13日付の通知には〈近年の使用量等から、ワクチンを適切に使用すれば、不足は生じない状況と考えられる〉とあった。一方、今年9月9日付の通知には〈(今年の供給量は)昨年度の使用量よりも約12%多い〉とあるだけ。厚労省は後述する通り、ワクチンの不足を見通していたようだ。

 大阪・梅田に近い太融寺町谷口医院の谷口恭(やすし)院長は「ワクチンが不足するのは今年だけではなく、毎年のこと」と話す。

「厚労省が例年、『不足は生じない』とウェブサイトに書くのは、現場を知らないからでしょう。当院のような小さなクリニックに届くインフルワクチンは少ない。早い年で11月中旬、遅い年でも12月中旬には在庫がなくなります。そのため、当院をかかりつけにしている方、その家族や同居人に限って接種することにし、その他の方は断っているのが実情なのです。今年も変わりません」

 インターネットには「インフルワクチンの接種を希望する人が開院前に行列している」といった投稿が数多い。行列を防ぐため、予約制で接種する医院が増えている。

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