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予防医療最前線「一滴」の血液から「寿命」がわかる!働きざかりを襲う怖い病に立ち向かえ

2020年10月25日号

 ◇認知症、脳・心筋梗塞、肺・胃・大腸がん...

 検査は痛くて時間がかかり面倒なもの......と考えるのは時代遅れ。医学の進化により、血液だけで、命にかかわる病気のリスクを調べてそれを予防に活用できるようになっている。「もっと早く病気に気づいていれば......」と後悔しないためにも、知っておきたい最新の血液検査情報を紹介する。

 ◇あなたの体は病気にかかりやすいかも!

 病気を悪化させて命の危機に瀕(ひん)しないためには「早期発見、早期治療」が大切だが、最近ではさらに進化して「早期発見、早期予防」をめざして医学研究が進んでいる。

「ただ長生きして寿命を延ばすのではなく、一生元気に自立した生活を送る『健康寿命』を延ばすという予防医学の視点から考えると、病気にかかってから治療するのでは遅く、病気にかかりにくい体を維持することが大切です。そのためにさまざまな病気のリスクを予測する『スクリーニング検査』の研究・開発が進んでいます」と説明するのは、東京医科歯科大医学部付属病院総合診療科教授の竹村洋典(ようすけ)氏。

「スクリーニング検査」とは、症状のない人を対象に病気の発症が予測される人を検出する検査のこと。

 なじみのないようにも聞こえるが、実際は多種多様なスクリーニング検査が実施されている。新生児全員を対象として血液で内分泌疾患・代謝異常疾患を見つけるための新生児マススクリーニング検査、便潜血検査を用いた大腸がんスクリーニング検査、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の抗原や抗体が体内にあるか調べる血液検査、ある悪性腫瘍に対し特異的に上昇する腫瘍マーカーを調べる血液検査などがそうだ。

「注意したいのはスクリーニング検査は『病気にかかりやすいかどうか』を調べる検査で、『病気かどうか』の診断をする検査ではないこと。高リスクだったとしても必ずその病気になるわけでもないし、低リスクだから病気にかからないという保証はありません。スクリーニング検査の結果は、医師の説明を聞き、その後の生活習慣の改善などに生かすようにしましょう」と竹村氏。

 では健康で長生きするためには、どんなスクリーニング検査が必要なのだろうか? 体に痛みを感じることなく、時間もかからない採血のみで可能な検査を紹介しよう。

 ◇認知症の発症を遅らせることも

 日本人は長寿だが、人生の最終ステージで、男性は約9年間、女性は約12年間も自立生活が続けられずに支援や介護を必要として一生を終える。ではなぜ人は要介護や要支援になってしまうのだろうか?

 厚生労働省が発表した2019年の「国民生活基礎調査」の結果によると「要介護(日常生活上の基本的動作を自分で行うことが困難で何らかの介護を要する状態)」になった原因の第1位は「認知症」(全体の24・3%)、第2位が「脳血管疾患(脳卒中)」(19・2%)、第3位が「骨折・転倒」(12・0%)となっている。

「典型的な例が、膝の痛みが続いてだんだんうまく歩けなくなり、ついに転んで骨折するパターン。大腿骨頸(だいたいけい)部骨折などのときは寝たきりにもなり、回復しても筋力がさらに衰えて活動範囲が狭くなり、社会活動が減って認知機能も低下して、気づいたときには認知症になっていた......という流れです。特に認知症はご本人が自覚しにくく、かなり進行してからご家族と一緒に受診されるケースが多いです」(竹村氏)

 うれしいことに、認知症の早期発見や予防については世界中で研究が進んでおり、最近では「軽度認知障害(MCI)」という認知症予備軍の段階で発見し予防をすれば発症を遅らせることができると報告されている。さらに少量の血液検査でMCIのリスクを調べる方法も開発され、自費診療ではあるが3万~4万円程度で受診できる医療機関が増えている。

 認知症の中で最も多い「アルツハイマー型認知症」は、アミロイドβ(ベータ)という物質が脳に蓄積して神経細胞を破壊することが発症原因の一つと言われており、発症する20年以上も前からアミロイドβの蓄積が始まっていることがわかっている。MCIのスクリーニング検査は1回7㍉㍑の血液を採取し、血液中のアミロイドβ関連のたんぱく質の量を調べることでMCIの可能性をA~Dの4段階で判定する。検査結果は医療機関で医師から説明され、最もリスクの高いD判定の場合は、2次検査(問診・心理検査・脳波検査測定・MRI検査など)を受診することが推奨されるほか、必要に応じて運動療法、食事療法、生活習慣改善などのカウンセリングを提供してくれる医療機関もある。

 さらにもう一つ、5㍉㍑の血液でアルツハイマー型認知症や認知機能低下に関係する遺伝子の型を調べることができる「APOE(アポイー)遺伝子検査」がある。

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