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〝"美容〟〝フレイル予防〟を求め女たちが殺到する、たんぱく質の最前線

2020年8月 9日号

<1冊丸ごと すぐに役立つ夏サバイバル百科>

 ◇40代半ばから筋肉量が減少

 今、スポーツジムに通い、プロテインを飲む50代以上の女性たちが増えているという。その意識の根底にあるのは、たんぱく質を摂取することの重要性だ。より若く美しく、フレイル予防や健康維持に効果のある、賢いたんぱく質の摂り方、最前線。

「ジムには毎日行って、2時間ほど運動します。最近のお気に入りは筋トレですね。筋トレは成長ホルモンが分泌されて肌や髪がきれいになったりと、美やエイジングにもいいとトレーナーに聞いたので。そうやって体を動かしたあとに、プロテインを飲みます。筋肉量が増えたのでカロリー消費量も上がり、ダイエット効果も期待できると思っています」

 こう語るのは50代の主婦だ。筋肉質で伸びやかな美しい手脚の持ち主で、実年齢には見えないほど若々しい。「人生100年時代」と言われる現代において、50代は折り返し地点だ。「美魔女」とまではいかなくとも、まだ人生の半分を過ぎただけとの意識で、自らの美や健康を考える女性たちが今、増えている。

 彼女たちはスポーツクラブに通い、そしてプロテインを飲む。プロテインと言えば、かつては筋骨隆々のボディービルダーやアスリートが愛飲するというイメージが強かった。だが、それはもはや過去のものになりつつあるようだ。

「50歳を過ぎてから体重が5㌔増えました。通い始めたジムでプロテインを勧められ、毎日飲むようになってから、体が引き締まってきたように感じます。あとは爪が丈夫になり、伸びるのも早くなりました。白髪のペースも遅くなったようで、年齢よりも髪が若々しいと最近は美容師さんにも言われます」

 こう話したのは50代の女性会社員。新型コロナウイルスの感染拡大でジムに行けなかった時も「プロテインを摂(と)るだけでも筋肉の減少を少し食い止められると聞いたので、体形維持の安心材料のために飲んでいました」とも話す。

 プロテインの市場規模は右肩上がりだ。プロテイン商品も販売する食品メーカー・明治によると、2014年の市場規模は約186億円だったが、19年は3倍弱の約555億円にのぼる見通しだ。女性や高齢者への認知度が広まれば、まだまだ伸びるとも考えている。なぜならプロテイン先進国の米国に比べると、その市場規模は20分の1~30分の1にすぎないからだ。

 さらに検索サイト・グーグルでは「プロテイン」をキーワードにした検索数が5年前に比べると約4倍に増加。前出の女性たち以外にも、これだけプロテインへの関心が上がった理由には、「腰を痛めたあと、ケガ予防のために飲んでいる」「夫の介護が始まったから体力をつけたい」「孫の面倒を見るのが大変になってきたので」「フレイル予防に効果的だと聞いたから」などの声も聞かれる。

 フレイル(虚弱)は、14年に日本老年医学会が提唱した概念だ。加齢による心身の衰えにより、健康な状態から要介護状態に移行する中間や手前の段階とされる。足腰の筋力が衰えて疲れやすく、転倒や骨折のリスクも増す。家に閉じこもりがちになり、認知症なども誘発しやすくなるのだ。

「筋肉の量は活動量が減少する30代以降から、少しずつ減っていきます。特に大腿(だいたい)などの筋肉は40代半ばからは直線的に下降していく。一つ年を取れば、1%の筋肉が減ると言われます。つまり10年で10%も減少してしまうのです」

 そう指摘するのは、東京大スポーツ先端科学研究拠点長の石井直方名誉教授だ。

 中でも年齢とともに減っていくのは、速筋と言われる筋肉だ。筋肉には大きくわけて速筋と遅筋という2種類の筋線維があり、それぞれ働きが異なるという。

「遅筋と速筋では、筋肉の収縮する速度が2~3倍も違います。遅筋は収縮スピードが遅いけれどスタミナがあり、姿勢を維持したり、呼吸をしたりする時に使われます。日々の生活を活発にしていれば、同じだけの量の筋肉を維持することができるのです。一方の速筋は収縮スピードが速く、瞬発力を発揮する筋肉です。転びそうになった時に踏ん張ったり、ダッシュをしたり。また階段を下りるというのは少しずつブレーキをかける動作で、これにも速筋が重要です。速筋はあまり頻繁に使わなくても維持できますが、45歳以降になると確実に減っていくのです」(石井氏)

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