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メカニズム徹底解説!コロナで飲んではいけない薬 集中連載前編『ランセット』も警告

2020年5月24日号

「高齢者」と「基礎疾患」。この二つのキーワードは新型コロナウイルス感染症の重症化のリスク要因として、広く知られるようになった。だが、重症化するメカニズムには「薬」が絡んでいるという。医療取材の経験豊富なベテランジャーナリストが実相に迫る。

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 ◇医療界のタブー「重症化」の実相に斬り込む

 新型コロナウイルス感染症を巡る最大の脅威はいわゆる「重症化」である。

 新型コロナウイルスに感染したり発症したりしたとしても、重症化を免れることができれば感染から死亡に至ることはない。また、助けられるはずの命を助けられなくなる医療崩壊も、感染者からキャパシティーを超える数の重症者が出なければ阻止できるからだ。

 では、新型コロナウイルス感染症はいかなる理由によって重症化するのか。

 実は、人々を不安に陥れているこの疑問について、最近、海外の医師や研究者らから注目すべき報告が相次いでいる。ズバリ、警告を貫くキーワードは「飲んではいけない薬」。本連載では、前編と後編の2回にわたり、医療界のタブーとも言われる重症化の実相に斬り込んでみたい――。

     ※

 新型コロナウイルス感染症は、主として「高齢者」と「ある種の基礎疾患を抱える患者」で重症化しやすい、とされている。

 この二つの重症化リスクのうち、高齢者についてはいわゆる「免疫力の低下」でおおよその説明がつく。ただし、この点を正しく理解するためにはまず、「自然免疫」と「獲得免疫」の特徴や違いを大まかに把握しておく必要がある。

 自然免疫はウイルスや細菌などの外敵を最初に迎え撃つための第一次的なバリアーであり、一般に免疫力と表現される免疫システムの正体は、この自然免疫にほかならない(注1)。

 また、自然免疫は人体にとって未知の外敵にも素早く対応し得る万能性を有しており、例えば、人類が未知のウイルスによる絶滅を免れてきたのも自然免疫のおかげだとされている。ただし、この自然免疫は「年を取るにつれて、その力が次第に低下していく」という弱点も併せ持っている。

 一方、ジェンナーの種痘(注2)で知られる獲得免疫は、ウイルスや細菌などの外敵に対する抗体を、体内産生することで人体を守る免疫システムである。

 例えば、毎年のように流行する季節性のインフルエンザの場合、人々はタイプの違うインフルエンザウイルスに繰り返し感染したり、予防接種を受けたりすることで累積的な一定のウイルス抗体価(注3)、いわゆる基礎免疫を獲得する。その結果、あるタイプのインフルエンザが流行しても感染を免れたり、感染しても発症や重症化を免れたりすることが可能となる。

 話を新型コロナウイルス感染症に戻せば、この間に明らかになってきた「若年者で重症化しにくく、高齢者で重症化しやすい」との特徴や傾向は、前述した加齢に伴う自然免疫力の漸次低下で過不足なく説明することができる。新型コロナの場合、地球上の誰一人として基礎免疫を持っていないため、自然免疫力の低下がそのまま高齢者における重症化率の高さとなって表れてくるのである。

 ちなみに、季節性のインフルエンザの場合、「若年者で感染しやすく、かつ、重症化しやすい」との特徴や傾向は、「若年者ほど基礎免疫の獲得率が低い」との疫学的な事実によって説明できる。一方、「基礎免疫を持っているはずの高齢者であるにもかかわらず、感染しやすく、かつ、重症化しやすい」との特徴や傾向については、「自然免疫力の低下が基礎免疫力を凌駕(りょうが)してしまうから」と考えれば説明がつくのだ。

 では、新型コロナウイルス感染症のもう一つの重症化リスクとされる基礎疾患についてはどうか。

 当初から指摘されていたのは、「高血圧」「心臓病」「糖尿病」などの基礎疾患を抱える感染患者で重症化率がきわめて高い、という臨床データだった。

 この場合、例えば「何らかの基礎疾患を抱えている感染患者は、何らの基礎疾患も抱えていない感染患者に比べて、自然免疫力が低下しているからだろう」との推測には、一定の合理性がありそうに見える。

 しかし、自然免疫力の低下をもたらす数ある基礎疾患の中で、なぜ高血圧や心臓病や糖尿病などの基礎疾患だけが、新型コロナウイルス感染症の特別な重症化リスクになるのか――この点については、右の自然免疫力の低下では全く説明がつかない。中でも、高血圧と重症化リスクの関係については、どこを探してみても納得のいく医学的説明は見当たらないのだ。

「だとすれば、高血圧や心臓病や糖尿病などの限られた基礎疾患と重症化との間には別の理由が介在しているのではないか......」

 実際、世界の少なからぬ医師や研究者らが、このような疑問を抱えながら事態を注視していたのである。

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