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薄毛対策で10歳若返る  専門家が教える治療薬最前線

2019年6月 9日号


 桐の一葉が落ちて知るのは天下の移ろいに、盛者必衰のことわり。そして髪の抜け毛に、人は寄る年波に悩む。第一印象を決定づける重要な要素と言われる毛髪。それだけに薄毛に悩む人も少なくない。だが、そんな苦しみから解放される時代が近づいているという。医療ジャーナリストが最新の知見を紹介する。

「自分では気づきにくいのですが、頭は顔よりも表面積が大きいため、実は他人からはあらゆる角度からよく見られています」
 そう話すのは、頭皮ケアサロンOHBA(東京都千代田区)オーナーの大場隆吉氏(67)だ。2007年から約10年間、上皇陛下と天皇陛下が天皇・皇太子時代に御理髪掛(ごりはつがかり)を務めた経歴があり、これまで約10万人の頭皮を診断してきた頭皮ケアのスペシャリストだ。
 髪も肌同様、年齢とともに老化が進む。その大場氏の助言で作成したのが下の「髪と頭皮の危険信号をチェック」である。当てはまる項目が二つ以上あったら、危険信号だ。
 もっとも男性の場合は、遺伝が関係する「男性型脱毛症」が多いのも事実だ。詳しくは後述するが、日本人男性の3、4人に1人の割合で発症するとされる。そうした素因の有無にかかわらず、日々の不適切な髪の手入れ法によっても、頭皮の乾燥や炎症などを招き、抜け毛の原因となっている可能性もある。
「遺伝的に薄毛になる体質があったとしても、諦めて放置せずに、頭皮の状態を気にかけて育毛環境を整えることが大切です。特に正しいシャンプー法を習慣にすることは、長い目で見て髪を若々しく保つのに効果があります。
 頭皮は、8万~12万本の髪を日々成長させている、とても代謝が活発な器官です。顔だけでなく頭皮にもっと意識を向けて、優しく触れてください。触れるだけでも頭皮の血行がよくなり、毛を育む土壌が整います。頭皮を柔らかく動かすと、顔もリフトアップし、全身が元気になりますよ」
 そう話す大場氏の髪はふさふさだ。

 ◇頭皮を活性化するシャンプー法  

大場氏によると、シャンプーを大量に使う▽熱いお湯で洗う▽頭皮をごしごしこすって洗う▽すすぎが不十分▽コンディショナーやトリートメントのつけ過ぎ―などは、すべて頭皮にとってよくない洗髪法。

「頭皮が乾燥したり、雑菌が増えたりして、かゆみや抜け毛の原因となります」
 大場氏の勧める正しいシャンプー法のポイントは、(1)予洗いをしっかり行う(2)髪の根元に泡を作る(3)指を密着させて頭皮を揺らすように洗う―の三つだ(イラストA参照)。
(1)[予洗い]最初に、髪や頭皮の汚れをシャワーのお湯でよく流すこと。「38度くらいのぬるめのお湯で、2分くらいは洗い流します。汚れの大半が取り除かれ、少量のシャンプーで泡立つようになります」。シャンプーの使い過ぎは、皮脂を取り過ぎて頭皮の乾燥を招く。ただ、「皮脂量や頭皮の状態は人によって異なるので、ニーズに合った洗浄成分のシャンプーを選ぶことも大切」。そのアドバイスをまとめたのが次ページの表だ。
(2)[髪の根元に泡を作る]シャンプーを頭皮につけたら、両手の指をこめかみの辺りから滑らせ、髪を挟んで指を閉じる。そのまま両手を地肌に小刻みに押し付けるようにバウンドさせ、髪の根元に泡を作る。
(3)[頭皮を揺らすように洗う]頭皮全体に泡ができたら、こすらない頭皮のマッサージだ。両手の指の腹で側頭部の辺りにそっと触れたら一呼吸置く。次に指を頭皮に密着させたまま、頭皮をゆっくり上に引き上げるようにして小さな円を描く。こすらずに、頭皮を揺らすように洗うとよい。
「頭頂部から後頭部にかけては筋肉がなく、帽状腱膜(けんまく)(次ページのイラストB)という薄い膜で覆われています。血行が悪くなりやすく薄毛が発生しやすい部位なので念入りに触れてください。周辺にある筋肉のコリをほぐすのも効果的です」
 私もさっそく、頭皮に触れるシャンプー法を毎日試してみた。根元にしっかり泡を作れるようになると、こすらなくても汚れがしっかり落ち、洗髪後は頭がすっきりして血色がよくなった。また、頭皮が柔らかくなり、顔のリフトアップ効果も期待できると感じた。女性もぜひ試してみてほしい。

 ◇効果ありの三つの治療薬  

男性に多く発症する男性型脱毛症。頭髪治療が専門の形成外科医で東京メモリアルクリニック・平山(東京都渋谷区)院長の佐藤明男氏(61)はこう説く。

「男性型脱毛症は、20代後半~30代ごろから前頭部や頭頂部の毛が細く短くなり、40代以降には毛が生えなくなります。日本人男性の発症頻度は全年齢平均で約30%、25年ほど前から変わっていません」
 では、なぜ薄毛になるのか。イラストCをご覧いただきたい。男性型脱毛症を発症すると、通常2~6年ある成長期が1年未満に短縮され、その結果、細く短い毛が増え、最終的に毛がなくなってしまう。発症には、遺伝と男性ホルモンの関与が明らかになっている。男性ホルモンのテストステロンは、「5α還元酵素」(2型)によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変化。このDHTが前頭部や頭頂部の毛の細胞にある「男性ホルモン受容体」に結合すると、髪の成長期を短縮させる物質が生まれ、軟毛化が起こる。
 うわさ話のように「祖父のハゲは遺伝する」などと言われる。ただ、一面、真実だと佐藤氏は言う。
「DHTを作らせる5α還元酵素の作用は、父と母の両方から受け継ぎます。ただ、男性ホルモンレセプターの結合のしやすさは、X染色体から受け継ぐため、母方の祖父の影響を受けやすい。つまり、男性型脱毛症は両親から遺伝の影響を受けますが、特に母方の祖父が薄毛だった場合には、その体質を受け継ぐ可能性が高くなります」
 その男性型脱毛症と診断されるのはどういうケースか。佐藤氏は言う。
「円形脱毛症、甲状腺機能低下症など、脱毛が起こる他の疾患の有無を確認します。そうした疾患が除外され、頭の観察部位で20%以上の軟毛を認めた場合に男性型脱毛症と診断します」
 最近、薄毛の悩みは女性も無縁でない。ただ、いささか事情は男性と異なる。

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