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完璧な終活 第9弾 徹底取材 最後のタブー「尊厳死」という選択

2019年4月28日号

 ▼「リビングウイル」という人生の閉じ方

 終末期にある患者は医療の過剰介入などによって「自然な死」、いわば安らかに逝くことが叶わない場合もある。だが自らの意思で延命措置を取りやめ、死を受容し、最期の時を迎える選択肢もある。大反響シリーズ第9弾では、「尊厳死」の迎え方を徹底取材した。

 自分がかくありたいと願う最期をいかにして迎えるか。この点はそれまでの終活を締めくくる究極のテーマであり、人生の終(しま)い方の良し悪(あ)しを左右する最大のポイントでもある。
 実際、多くの人々が抱く「できれば安らかな最期を迎えたい」との共通の願いは、終末期における医療の過剰介入によって台無しにされてしまうことも少なくない。具体的には、胃ろうによる栄養補給、人工呼吸器による生命維持、心肺停止時の心肺蘇生などの、いわゆる「延命措置」だ。
 そこで、望ましい最期を迎えるための重要なキーワードとして浮上してくるのが「尊厳死」である。
 尊厳死とは、不治で末期に至った患者が、死期を引き延ばすためだけの延命措置を拒否し、自然の経過に任せて受け入れる死、のことである。尊厳死は平穏死と呼ばれることもあるが、要は人間としての本来的な自然死のことで、多くの場合、自然死は安らかで穏やかな死とされている。
 病院での苦痛に満ちた死が一般的になって以降、死は忌まわしいものとして日常から遠ざけられ、かつ、死について考えることすらタブー視されてきたが、そんな中、国もようやく重い腰を上げ始めている。
 昨年3月、厚生労働省は「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を11年ぶりに改訂した。この改訂版では「最期まで本人の生き方を尊重し、医療・ケアの提供について検討することが重要」とされ、欧米で普及しつつある「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」なる概念も新たに盛り込まれている。
 ACPとは「人生の最終段階における医療や介護の方針について、本人や家族が医療チームや介護チームなどと事前に繰り返し話し合うプロセス」のことで、本人が「ACPチェックシート」に望ましい最期に対する自分の意思や希望を事前に記入しておく取り組みも、一部の医療機関や介護施設などで始まっている。
 ただ、制度がスタートして間もないことを差し引いたとしても、今後、ACPが本来の機能を発揮しながら普及を見ていくかについては疑問もある。
 まず、制度上、ACPは「かかりつけ医」に平素から担ってもらうのが理想的とされているが、一般の開業医が時間も手間もかかるACPに進んで取り組むとは考えにくいからだ。さらにいえば、延命措置を拒否することになる自然死を受け入れてくれる医師が圧倒的に少ない、見つからないという最大のネックも、巨大な岩壁のように眼前に立ちはだかっている。
 事実、自然死へ向けたACPに積極的に取り組んでいる医師は、不治の病にかかった患者が集まる大病院のごく一部の医師か、看取(みと)りを担う一部の在宅医などに限られている。そして、残念ながら、このような心ある医師を金の草鞋(わらじ)を履いてでも探し出さねばならない状況が容易に変わるとも思えないのである。

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