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完璧な終活 第5弾 「おひとりさま」完全マニュアル 

2019年3月31日号

 一人暮らしの高齢者が増えている。1980年と2015年を比較すると、65歳以上の人は男性が10倍、女性は6倍にもなっている。周囲を困らせないための「死の準備」は一人暮らしとそうでない人では違う。おひとりさまの死の備えについてお伝えしたい。

 ◇万が一のとき、連絡役を任せる人を決めておこう

 誰でも一人暮らしになる可能性がある。現在は夫婦で仲むつまじく暮らしていようが、いずれはどちらかが先に逝く。また、何らかの事情で現在は同居している子供と離れて暮らすことになるかもしれない。

 社会全体の高齢化や核家族化を背景に、一人暮らしの高齢者は増えるばかり。内閣府の統計によると、1980年には65歳以上の人の一人暮らしは男性約19万人、女性約69万人にすぎなかったが、2015年には男性約192万人、女性約400万人に激増。この間、35年で、一人暮らしの男性は約10倍、女性は約6倍になった。
 一人暮らしの人が「おひとりさま」と呼ばれるようになったのは、社会学者・上野千鶴子さんの著書『おひとりさまの老後』(法研)がベストセラーになった2007年ごろから。おひとりさまの高齢者とそうでない高齢者は生活様式に違いがあるが、死を迎えるにあたってやるべき準備ももちろん異なる。
 おひとりさまは、どんな備えをしておくべきなのか。
『ひとり終活 不安が消える万全の備え』(小学館新書)などの著書があり、高齢者問題のエキスパートとして名高い「シニア生活文化研究所」の小谷みどり所長はこう語る。
「おひとりさまの死の準備で第一のポイントは、『誰を自分の死のメッセンジャー役に選び、それを頼んでおくか』です」
「メッセンジャー」とは、おひとりさまに万が一のことがあった際、真っ先に連絡を受ける人。さらに、おひとりさまの死を親族や親しい友人、知人ら関係者に伝える役目もはたす。
 メッセンジャーは相手と合意の上で決める。もちろん勝手には決められない。そして、メッセンジャーの連絡先のメモを財布の中などに入れて常に携行し、外出先で倒れようが、知らせがいくようにしておく。
 メッセンジャーを決めておかないと、たとえ運転免許証などで自分の名前が判明しようが、火葬費用を支払ってくれる身元引受人が見つからない場合、死体が発見された市区町村が、墓地埋葬法等の法に基づいて火葬を行う。遺骨は無縁納骨堂へ安置される。殺人などの疑いがある不審死でない限り、行政側には身元引受人を熱心に探す余裕がない。
 メッセンジャーは死後の手続きをすべて担うわけではない。最初に知らせを受け、その事実を関係者に伝えるだけ。それでも人選するとなると、頭を悩ませる人が少なくないはずだ。
 たとえば、ずっと未婚の人や子供のいない人は困るに違いない。両親も配偶者も既に亡くなり、きょうだいもいないという人もまた簡単ではないはずだ。
 離婚しておひとりさまになった人も子供たちとの関係が良好でない限り、メッセンジャーを頼むのは容易なことではないだろう。
 親戚が少ない人、交流が途絶えている人は、元気なうちからメッセンジャーを頼めそうな親戚や友人、知人との交流を深め、信頼関係を築いておくことが大切である。
 一方、比較的経済状態に余裕があるおひとりさまに向くのが、「死後事務委任契約」だ。

 ◇死後の手続きをすべて託す契約

 死後事務委任契約とは自分の死後の手続きを誰かに託すという契約である。弁護士や司法書士、行政書士らが主な契約相手だが、引き受けてくれるのなら友人や知人でも構わない。ただし、負担が軽くなく、専門知識もいるため、友人や知人が担うのは簡単なことではないだろう。

 契約を結ぶことが決まったら、何をしてもらうか決める。死亡届の提出や葬儀の取り仕切り、遺品整理など、死に関する手続きや儀式のすべてを頼める。また、まとめて任せる形の包括契約も結べる。
 契約の報酬は、死亡届の提出だけ頼んだ場合、2万円以上が目安。ほかの契約については表1の通りだ。
 契約相手は「受任者」、自分は「委任者」と称する。葬儀費用など実費は事前に受任者に預ける。支払う報酬は決して安くないものの、自分の死後についての不安は薄らぐのではないか。
「ただし、デメリットは、契約が確実に実行されているかどうか、確認したり監督したりすることができないこと。専門家に頼む場合、地域の弁護士会や司法書士会などから紹介された人であれば、その団体が監督機関の役割をはたすことが期待できます」(小谷さん)
 契約後は契約書を作成する。私製の契約書でも構わないのだが、できれば公正証書をつくっておきたい。契約を確実に実行してもらうためだ。
 ちなみに公正証書とは、法務相に任命された公証人が公証役場で作成する公文書。高い証明力を持つ。
 公正証書をつくるのは行政書士らで、費用は10万から15万円。公証役場へは別に1万数千円支払う。
 エンディングノートにも「葬儀の取り仕切りはAさんに任せたい」などと書けるが、その記載内容は法的効力をまったく持たない。このため、依頼された側が、それを実行するとは限らない。
 一方、遺言書には法的効力があるものの、財産の承継についてしか記載することはできない。死後の手続きについては書けないのだ。

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