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完璧な終活 家族を困らせない死の準備

2019年3月10日号

▼「オリジナル・エンディングノート」の作り方ガイド

▼生前贈与による相続税の節約術

「人生100年」という言葉が絵空事ではなくなった。平均寿命は延びる一方。半面、誰であろうが死を避けられないのも厳然たる事実だ。その準備を自分で済ませておくと、家族が助かる。「死の準備」は残す者への愛情ともいえる。やっておきたい準備を紹介する。

「エンディングノート」の存在はご存じだろう。
 死に備えて、必要事項を書いておくノートであり、同名タイトルの日本映画(監督・砂田麻美)が公開された2011年前後から広まりはじめた。
 今では書店で文具メーカーなどが作った既製品が販売されているし、オリジナルのエンディングノートを住民に無料配布している自治体もある。
 もっとも、大半のエンディングノートには数多くの記入項目があり、それを生真面目に埋めようとしているうち、途中で挫折してしまう人も少なくないようだ。
 高齢者問題に詳しいファイナンシャルプランナーで、「家計の見直し相談センター」代表の藤川太氏はこうアドバイスする。
「遺言書と違い、エンディングノートには法的効力はありません。気軽に書けばよいのです」
 肩の力を抜き、本当に必要なことだけを記せばいいのだ。それによって家族の負担は格段に軽くなる。つまり、エンディングノートを書くことは、残された者への思いやりでもある。
 既製品を使わなくてもいい。155ページに、エンディングノートに記すべきことの一覧を掲載した。これらを好きなノートに書き込むと、自分だけのエンディングノートが完成する。
 既製品を使う場合の必須ポイントも掴(つか)めるだろう。また、「書いてはいけないこと」も分かる。

 ◇エンディングノートに必ず記しておくこと

 まず資産は必ず記しておく。あなたの死後、家族らが資産を分けようとした際、資産総額が不明で、預貯金のある金融機関も分からないようでは、残された側を困らせてしまう。

 エンディングノートには預貯金のある金融機関名や支店名、口座番号、残高を書いておく。こうしておけば、家族らが金融機関に問い合わせることで口座が確認できる。
 残高は変動するので、記入日時も書いておく。半面、通帳の保管場所は記さない。万一、窃盗犯などが自宅に侵入した際、被害を拡大させないためだ。エンディングノートの悪用を防ぐ。
 キャッシュカードのパスワード(暗証番号)も書かない。やはり悪用を避けるためだ。パスワードは本人が存命中に使用できればいいのである。名義人の死亡後は口座が凍結されるため、パスワードも有名無実化する。
 有価証券を所有していたら、これは漏らさず書いておく。たとえば株式の場合、預入先の証券会社や預かり証の保管場所、銘柄、株数、取得単価、取得年月日などを記す。手形などほかの有価証券も同様だ。
 所有する不動産についても書く。その際には、新年度になると役所から送られてくる固定資産税の納税通知書を活用しよう。土地の所在地や面積、地目(田、畑、宅地など)、評価額が分かるので、便利だ。
 法務局で不動産登記簿謄本を取得し、それを書き写してもいいが、前述のとおり、法的効力のないエンディングノートは遺言書とは性質が違う。残された人たちに所有資産を知らせるのが目的なので、持っている不動産が分かる程度でいい。
 保険の記述も忘れてはならない。生命保険の時効は原則3年。それが過ぎると、請求権が消滅してしまうのだ。家族らは保険金を受け取れなくなってしまう。不利益を蒙(こうむ)らないためにも、加入している保険の名称や保険会社名、保険金額、証券番号と証書の保管場所を記しておこう。
 次に、「マイナスの遺産」があるのなら、それも必ず書いておく。借り入れのことだ。借入金額、借入先、返済方法などを細かく書き記しておこう。
 借入金額の残高は、返済に応じて変動するので、記入日も忘れずに書いておく。住宅ローン、自動車ローン、カードローンなども同じだ。また、借金の保証人になっていたら、やはり相手の名前や自分との間柄、連絡先、金額を記しておく。
 金を借りることを誇らしくないと考える人もいるので、そんな人は書きたくないかもしれないが、藤川氏は「家族にとっては、とても大切なことです」と強調する。負債が資産を上回る場合、相続人にその返済義務を負わせてしまうからだ。
 ただし、相続人には、資産も負債も全て引き継ぐ「単純承認」という選択のみならず、「相続放棄」(資産も負債も放棄する)と「限定承認」(資産の範囲内のみ負債を引き継ぐ)という道もある。
 とはいえ、その手続きは、相続の発生を知った翌日から3カ月以内に家庭裁判所で行わなくてはならない。これを「熟慮期間」と称するが、そう長い時間ではない。
 やはりマイナスの遺産はしっかり知らせておくべきなのだ。

 ◇贈与税の非課税制度を活用する

 自分が亡き後の相続税が不安な人は、贈与税が非課税になる制度や特例を知り、活用しよう。子供や孫に非課税で贈与する方法がいくつかある。

 まず、「暦年(1月1日~12月31日)贈与」を使う。暦年ごとの贈与の場合、受け取る側は1人あたり110万円までは贈与税が非課税となるのだ。申告の必要もない。
 たとえば、200万円以下の贈与の場合、通常は10%課税されるが、暦年で2年に分けて100万円ずつ贈ると、非課税。半面、1年の間に200万円を贈ると、110万円を超えた90万円が課税対象となってしまい、税率は10%なので、贈与を受けた側は9万円を納税することになる〈(200万円-110万円)×10%=9万円〉。
 ぜひ活用したいが、配偶者や子供など法定相続人への贈与については、贈った側(自分)が死亡すると、その時点から遡(さかのぼ)って3年以内のものには相続税がかかってしまうので、注意しなくてはならない。落とし穴だ。
 一方、子供が存命中であるなら、その子供(孫)は法定相続人にならないので、孫に毎年110万円を贈与すると、あとから相続税がかかる心配はない。知っておきたいポイントである。
 ほかにも、贈与税には非課税となる特例がある。藤川氏の解説に基づき、その一例を151ページの表(1)に記したので、参考にしてほしい。

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