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駆け込みは得か!? 住まいの「消費増税対策」全情報

2019年2月 3日号

 人生最大の買い物といわれるのが「家」。10月に予定されている消費増税の影響は気になるところだが、政府も景気後退を防ぐべくあらゆる対策を講じている。

"駆け込み"が得とは限らない。制度と仕組みを知って、買い時を逃さないようにしよう。

 2014年、消費税率が5%から8%に引き上げられた際は、増税前の駆け込み需要の反動減で消費は大きく冷え込んだ。内閣府の「経済財政白書」(15年度版)によると、駆け込み需要は3兆円程度、消費税率引き上げによる物価上昇が個人消費に与えた影響は2兆円台半ば。14年度の実質GDP(国内総生産)成長率は前年比マイナス0・9%となり、政府への批判も集中した。
 歴史をさかのぼれば、大平内閣、竹下内閣、橋本内閣と過去、消費税導入の表明や増税をするなどした内閣は、いずれもその後の選挙で大きく議席を減らしている。今年は4月に統一地方選、7月に参院選が控えており、安倍首相も消費税増税による議席減は何としても避けたい腹だろう。
 そうした意向は、昨年12月21日に閣議決定された「平成31年度税制改正の大綱(税制大綱)」に色濃く表れている。『自分でできる相続税申告』(自由国民社)などの著書がある税理士の福田真弓さんは「今回の税制大綱は、消費税増税対策に主眼を置いた改革」だという。
「住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)が延長され、自動車税の恒久減税が新たに導入されたほか消費税率の引き上げ時には、住宅購入にかかる贈与税の非課税枠が拡大されることも決まっています。景気を後退させずに消費税増税を成功させるという国の強い意志を感じます」(福田さん)
 中でも重点的に増税対策をされているのが住宅に関するものだ。購入価格が数千万円単位になるため、消費税2%の引き上げ(8%から10%)でも数十万円から百万円超の負担増となり、駆け込み需要とその後の反動減も大きくなる。国土交通省の「住宅着工統計」(17年度)によると、前回の消費税率の引き上げにあたっては、13年度に98万7254戸だった新設住宅着工件数(総数)が、14年度は前年比マイナス10・8%の88万470戸まで落ち込んだ。
 そこで今回は、税制優遇策に加え、「すまい給付金」の拡充、「次世代住宅ポイント制度」なども導入され、増税対策が"総動員"されている。こうした制度は増税後の負担抑制に、どの程度効果があるのか。さまざまなケースで考えてみたい。

 ◇中古住宅なら消費税がかからない?

 消費税は、その名の通り物やサービスなどを「消費」する時に課税される租税。

「土地は消費されるものではないので土地部分に消費税はかかりません。一戸建て、マンション、いずれも建物部分にのみ消費税が課税されます」(福田さん)
 また、消費税は事業者を通じた取引に課税されるもので、個人間売買は対象外。中古住宅は、個人が売り主になることも多いが、その場合は建物部分にも消費税はかからない。
『「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)などの著書があり、多くの消費者から住宅ローン相談を受けているファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんは、「忘れがちなのは諸費用にかかる消費税の負担増」と指摘する。住宅購入の際は、それに付随する諸費用がかかるが、消費税のかかるものとかからないものがあるのだ。
「司法書士に登録免許税など抵当権の設定をしてもらうための『司法書士手数料』、ローン借り入れする時に保証会社に支払う『住宅ローン手数料』には消費税がかかります。また、建売住宅や中古住宅、注文住宅を建てるための土地を不動産業者から購入すると『仲介手数料』が発生しますので、これも課税対象です」(竹下さん)
 課税対象にならないのが、保険料(火災保険、地震保険など)、税金(印紙税、不動産取得税、固定資産税)、住宅ローン保証料、マンションの修繕積立金など。増税による負担を正確に把握するためにも、まずはどんなものに消費税がかかるのか確認しておこう。

 ◇注文住宅は3月末までの契約を目指せ!

 10月1日以降、諸費用も負担増になるが、住宅の種類によっては経過措置の対象になるケースもある。たとえば住宅は、商店で物を買うのとはわけが違う。注文住宅の場合、契約してから完成するまでに数カ月を要するため、一定の経過措置が設けられている。

「原則的に住宅の引き渡しが9月30日までに完了すれば消費税率8%ですが、10月1日以降になると10%になります。ただし、増税施行日の6カ月と1日前に請負契約が完了した注文住宅は、引き渡し日に関係なく増税前の税率が適用されます」(福田さん)
 つまり注文住宅は、施主と事業者の間で交わされる請負契約が、3月31日までに完了していれば、引き渡し時期が10月1日以降でも税率は8%のままなのだ。
 一方、分譲住宅や建売住宅、マンションは、売買契約のタイミングが税率に関係しない。原則的に引き渡し時点での税率が適用されるが、キッチンや浴室を特注するなど、一部に「工事の請負に係る契約」があれば、住宅費用全体が経過措置の対象になる。

 ◇増税後に購入なら住宅ローン減税3年延長

 このように経過措置はあるものの引き渡しが10月1日以降になると、原則的に消費税率は10%になり、建物価格や諸費用に対して2%分負担が増える。その負担軽減策として用意されたのが「住宅ローン減税」と「すまい給付金」の拡充だ。

 住宅ローン減税は、住宅ローンを組んでマイホームの購入やリフォームをした人が受けられる優遇税制で、年末ローン残高の1%を10年間、所得税や住民税から控除できる。14年の消費税増税時に、21年12月までに入居すると控除額が年間最高40万円(エコ住宅などは50万円)に引き上げられたが、今回の増税に対応し、減税期間が3年間延長される。
「延長の対象になるのは消費税率10%で購入した住宅で、今年10月1日~20年12月までに入居した人。当初10年間の控除額は年末ローン残高の1%ですが、11年目以降の3年間は、(1)建物購入価格の2%を3等分した金額、(2)ローン残高の1%のいずれか少ない方の金額が毎年控除されます」(福田さん)
 住宅ローン減税の変更ポイントは上の表の通りだ。ただし、住宅ローン減税で還付されるのは、自分が納めた所得税と住民税の範囲内になる。
「所得が低く、納税額が少ないと、控除枠を使いきれないことも多いため、前回の消費税増税時に、住宅ローン減税の拡充と合わせて導入されたのが『すまい給付金』です」(竹下さん)
 利用できるのは、年収が一定額以下の人。消費税率8%の物件は、収入額の目安510万円以下の人が対象だったが、税率10%で購入した場合は775万円以下まで利用できるようになった。給付額は所得に応じて異なるが、これまでの最大30万円から最大50万円に増額される。
 原則的に住宅ローンを組んでいることが条件だが、50歳以上は収入額の目安が650万円以下ならローンを組まずに購入した人も対象になる。中古住宅は、消費税が発生する事業者から購入した場合は対象になる。
 新たに創設された「次世代住宅ポイント制度」も、消費税率10%で住宅購入する人の特典だ。省エネ性能に優れたエコ住宅や耐震性能の高い住宅、家事負担を軽減する設備のある住宅などを購入すると、1戸あたり最大35万円分のポイントがもらえる。ポイントは健康長寿や子育て支援などに役立つ商品と交換できる予定で、具体的な商品は今後、公募で決められる。

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