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幸せって何だっけ? 47都道府県・幸福度の徹底研究

2019年1月27日号

 「幸福」―。それは古代ローマの時代から、賢人たちの研究テーマである。だが、いまだ誰も答えを出せていない。半面、幸福度の調査は行われている。都道府県別の1位は福井だ。では、福井の収入や寿命の順位はどうなのだろう?幸福度を考察する。

「全47都道府県幸福度ランキング」というものの存在をご存じだろうか。シンクタンク・一般財団法人日本総合研究所(注1)が主体となって調査され、1年おきに発表される都道府県ごとの幸福度の順位だ。
 2012年に最初の発表が行われて以来、18年までに計4回発表された。そのたび、ランキングの理由などが詳しく解説された同名単行本も東洋経済新報社から発売されている。
「幸福って測れるの?」。そんな根本的な疑問を持たれる方もいるだろう。ランキングを出し、単行本の編集をしている日本総合研究所の松岡斉理事長に話を聞いてみた。
「調査が始まったきっかけは、11年の東日本大震災でした。それまで幸福度はGDP(国内総生産)と結び付けて考えられることが一般的でしたが、震災を機に『生活の質』『心の豊かさ』に着眼点を移そうという話が起きたのです」
 このため、ランキングを決めるにあたっては、「県民所得」など経済面のみならず、「人口増加率」なども細かく見ているほか、「健康」「文化」「仕事」「生活」「教育」など多角的に精緻な分析が行われている。
 とはいえ、幸福度の測り方に明確なルールはないので、違った観点で「幸せとは何か」を考えてもいいはず。また、この幸福度ランキングと各種の公的調査との比較も行ってみたい。
 そこで、本誌は(1)平均寿命(2)健康寿命(3)悩みやストレスのある者の割合(4)世帯収入(5)学力テスト正答率(中学校)(6)高校卒業者の進学率(7)最終学歴が大学卒業・大学院修了者の割合(8)子育て男性の家事参加時間(9)婚姻件数(10)離婚件数―などの公式調査結果を入手。独自の分析を試みた。
 その結果、まず注目地域として浮かび上がったのが、北陸3県(福井、石川、富山)である。最新の18年版幸福度ランキングでは福井が1位なのだが、本誌が用意した公式調査でも中学生の学力テスト正答率で福井は1位、夫の家事参加時間も1位なのだ。
 ちなみに同学力テストでは石川が2位で、富山は4位。この3県は、ほかの複数の公式調査でも上位に食い込んでいる。
 なぜ、北陸3県は学力テストの"優等生"なのだろう。『富山は日本のスウェーデン』(集英社新書)の著者で地方自治に詳しい慶應大教授(財政社会学)の井手英策氏が背景の一つとして指摘するのは、意外なことに三世代同居率の高さだ。
 05年の調査では、三世代同居率の全国平均は8・6%だったが、福井は20・2%で全国2位。1位は24・9%の秋田だったものの、富山と石川も全国平均を大きく上回っている。
 どうして三世代同居率の高さと学力が結びつくかというと、井手氏は「祖父母が子供の勉強を教えるため、県全体として落ちこぼれが生まれにくい環境が整っていると考えられます」と指摘する。
 井手氏が現地調査を行った富山では、自宅などの不動産を長男がすべて相続し、その分、祖父母の面倒まで見るのが一般的。結果として、三世代の同居率が上がるというわけだ。これは福井、石川にも通じる傾向である。
 15年に行われた国勢調査によれば、福井の共働き率は58・6%で全国1位。その背景にも三世代同居がある。福井は、眼鏡づくりなどの地場産業が古くから発達していて、結婚した女性も働く場所を得やすい。
「三世代同居の家庭の場合、『一家に嫁は2人いらない』という発想から、妻も働きに出ることになりがち。その分の家事を祖父母が担うという、ワークシェアリング的な発想が実践されているのです」(井手氏)
 福井は平均寿命も上位だ。男性が全国6位で女性が5位。そして、近年注目度が高まるばかりの健康寿命(注2)も男性10位、女性14位なのである。
「三世代同居により、孫の面倒を見る祖父母は、それが生きがいにつながっている」(福井県民)
 生きがいの有無が健康と関係するというのは現代医学の常識。やはり長寿県(男性2位、女性1位)の長野も、県の健康福祉部担当者が背景について「高齢者の就業率が高く、生きがいを持って生活している住民が多い」と語る。

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