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キャッシュレス 使わないと損 こんなにお得! クレジットカード、電子マネー、QRコード決済...

2018年12月 9日号

キャッシュレス決済」は世間を賑わす最新用語となった。以前から普及するクレジットカードや電子マネーだけでなく、スマートフォンを使った新手の決済(支払い)をさまざまな事業者が開始している。どんな仕組みで、どれが得なのか。最新事情をお届けしよう。

「買い物するたびに購入額の20%が戻ってきます。回数制限はなく、1カ月の上限は5万円」
 あまりに話がうますぎる。詐欺じゃないか。そう思っても無理もないが、「実施する会社はソフトバンクとヤフーの折半出資」と知れば、耳を傾けたくなるに違いない。その会社は「ペイペイ」。10月3日、スマホを使って商品やサービスの代金を払う「QRコード決済」の事業を始めたばかりだ。
 同社のキャンペーンの骨子はこうだ。ペイペイの無料アプリを入手したスマホユーザーに、買い物に使えるポイント500円分を進呈する。さらに12月3日までに5000円以上をチャージ(入金)すれば、1000円分のポイントを追加付与。翌日からは20%のポイント還元に加え、40回に1回の確率で、買い物額の全額分を還元する抽選をする(当選1回につき上限10万円)。キャンペーンは来年3月末まで続けるが、還元総額が100億円に達すれば終了するという。
 同社の中山一郎社長は11月22日の記者会見で、この「100億円あげちゃうキャンペーン」の狙いについて、「ユーザー数、利用店数ナンバーワンを目指す。ペイペイを使わないと損だ、と言い切れる」と豪語した。
 記者もペイペイのアプリを入手し、もらった500円分のポイントでQRコード決済を試してみた。ペイペイでの支払いを受け付ける店に置いてある「QRコード」というバーコードの一種を自分のスマホで撮影すると、スマホに支払い画面が表示される。案内に従って支払い額を入力。すぐに店員側のスマホが「ピン」と鳴った。記者が正しい金額を支払ったことが伝わったようだ。

 ◇消費増税で「5%還元」の政府案

 金融と情報技術(IT)を組み合わせたフィンテックを事業とする「財産ネット」の藤本誠之・企業調査部長に感想を聞いた。ソフトバンクのグループ会社であるヤフーが2002年、インターネット高速回線のモデムを無料配布したキャンペーンを思い出すという。

「大胆な方法で一気に市場シェアを確保しました。(ソフトバンク社長の)孫正義氏は今、QRコード決済の早期掌握を狙っている。消費者は同じ機能のアプリを二つも三つも持たないから、100億円を使ってでも、早めにシェアを取った者が勝つ。そう読んでいるのでしょう。一般的に、消費者に自社のアプリをインストールさせるのにかかる広告費は1人あたり500円ぐらい。新規ユーザーに500円を進呈するのは無理な出費ではない」
 ペイペイが始めたのと同種のQRコード決済は、LINE、楽天、米アマゾン・ドットコムなどIT企業が続々と開始している。以前からあるクレジットカードや電子マネーと同じく、現金を使わない「キャッシュレス決済」の一種だ。
 折しもペイペイが記者会見した日、安倍首相がキャッシュレス決済を後押しする発言をした。「来年10月の消費増税から9カ月間、中小店でキャッシュレス決済した客には購入額の5%分をポイント還元する」という案を検討するという。還元分は政府が負担する。
 このアイデアが実現すれば、1万円の買い物をキャッシュレス決済する客は、500円分のポイントを手にできる。今より消費税負担は200円増えるが、差し引き300円得する。増税になるのに支出が減るとは奇妙な話だ。
 表向きは個人消費の落ち込みを防ぐためだが、安倍政権は以前からキャッシュレス決済の拡大が急務と位置付けてきた。昨年6月に閣議決定した「未来投資戦略2017」は、日本の現状を〈長期にわたる生産性の伸び悩み〉と〈新たな需要創出の欠如〉に起因する長期低迷にあるとし、打破する手段の一つにキャッシュレス決済を挙げている。
 株式市場の格言に「国策に売りなし」とある通り、国策に便乗すれば儲(もう)かる。そんな機運が高まり、銀行もQRコード決済に続々と参入する。東証1部上場のIT企業「エムティーアイ」は10月、茨城県の常陽銀行と連携してQRコード決済サービス「&ペイ」を始めた。来年1月からは北海道の北洋銀行と実証実験をするという。エムティーアイの石山努執行役員によれば、銀行口座と直結している点が特徴だ。
「他のQRコード決済や電子マネーは、銀行口座かクレジットカードからお金をチャージしないと買い物できません。&ペイはそうした手間が要らず、買い物した瞬間に銀行口座から決済額が引き落とされる仕組み。全国の地方銀行や信用金庫と連携して広めたい」
 小売店にもメリットが大きいという。客が&ペイで買い物をすると、店が負担する手数料は購入額の1・8%。翌日には売り上げを手にできる。それに対して、クレジットカードやデビットカード、電子マネーなど既存のキャッシュレス決済は、手数料が3・24%以上もかかるという。
「クレジットカードの場合、規模が小さな店の手数料は7%、貸し倒れリスクが高い客が多いとみなされる飲食店は10%に上ることもあります。さらに店頭に端末を設置するには十数万円、その後も月数千円のコストがかかる。しかも売り上げは最大60日間も店に入ってこない。これでは中小店がクレジットカードの受け付けに消極的になるのも無理はない」(石山氏)
 もっとも、店側の負担は前出のペイペイのほうが少ない。同社の説明によれば、店側には初期費用、固定費、決済手数料が一切かからず、最短で翌日には売り上げを受け取れるという。11月22日の記者会見にはファミリーマート、エイチ・アイ・エス、ヤマダ電機などの幹部が登場し、ペイペイの受け付けを近く始めると表明した。小売業大手が熱心に後押しする背景には、この破格の条件があるのは間違いないだろう。
 利用客には100億円をバラまき、店からはカネを徴収せずにペイペイはどうやって儲けるのか。前出の藤本氏の見立てはこうだ。
「ビッグデータです。ペイペイの決済データを分析すれば、『誰が、何を、いつ、どこで買うのか』が全部分かる。例えば『池袋の居酒屋に月3回以上行く人』をすぐ抽出できる。広告を打つには非常に有用な情報であり、高値で売れるでしょう。これぞ究極の個人情報です」

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