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変わる相続制度 40年ぶりの大改正 得する最強裏ワザ

2018年11月18日号

 誰でも一生に一度、経験する可能性があるのが、「相続」である。その相続に関する法律が2019年1月から順次、大きく変わる。これまでの常識が通用しなくなる。意外な改正部分もある。ただし、慌てる必要はない。分かりやすく改正のポイントを解説しよう。

 今年7月の民法改正により、相続に関する法制度が大幅に変わることになった。相続の大幅な法制度改正は実に約40年ぶり。2019年1月から順次、施行される。
 主な改正項目は、次の通りだ。
(1)配偶者の居住権を保護
 現行制度では、夫(被相続人)が死亡した場合、妻(配偶者=相続人)が家に住み続けたいと望もうが、家も遺産分割の対象となってしまい、売却を迫られる例があった。また、たとえ遺産としてその家を得ようが、現金などほかの財産を受け取ることができなくなることもあった。
 今回の法改正では、「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」が新設され、夫が死亡した場合、妻は遺産分割が終了するまでの間、無償でその家を使用できる。さらに、妻は遺産分割等における選択肢の一つとして、終身の配偶者居住権も取得できるようになる。
 住み慣れた家を出る心配をしなくてもよくなるのだ。
(2)遺産分割等に関する見直し
 これまでは、夫が自分の死後も妻に家に住んでもらおうと、妻に家を生前贈与すると、それは遺産の先渡しとみなされてしまい、妻の遺産取得分が減額されてしまった。
 法改正後は、婚姻期間が20年以上の夫婦間であるなら、生前贈与あるいは遺贈された家を、遺産分割の対象から外せる。
 例えば、2000万円の家と預貯金500万円が残された場合、家は妻のものとなり、預貯金のみが分割の対象に。
(3)被相続人の預貯金が引き出し可能に
 被相続人が死亡すると、銀行口座が凍結されるのはご存じだろう。現行制度では、遺産分割協議が終了しないと口座から現金は下ろせない。このため、葬式代や生活費に困るという実例もあった。
 だが、法改正後は引き出せるように。方法は二つ。まず家庭裁判所に遺産の「仮分割」の仮処分を申し立てる方法。もう一つは、一定の金額なら、家裁の判断を経なくても引き出せるように。その金額は相続分の3分の1か、法務省令で定める額(未定)となる。
(4)遺言制度に関する見直し
 遺言には大きく分けて2通りある。公証役場で公証人がつくる「公正証書遺言」と被相続人が自分で書く「自筆証書遺言」だ。
 現行制度では、自筆証書遺言の場合、すべて自筆で書くよう定められ、財産目録もまた自筆によるものとされ、面倒だった。
 だが、法改正後は、財産目録はパソコンなどでの作成がOKになる。通帳のコピー添付も認められる。
 また、作成した遺言書が法務局で保管できる。その際、事前に法務局事務官が形式審査をするため、遺産分割開始前の家庭裁判所での検認(遺言書の存在と内容の確認)は不要となり、すぐさま相続手続きに入れる。
(5)遺留分制度の見直し
 遺産相続では法律によって、相続人であれば最低限の遺産を手にできる「遺留分」がある。現行制度では、その遺留分を土地や建物などで共有することを強いられることもあった。
 だが、法改正後は、遺留分は原則として現金で受け取れる。
(6)介護が報われるように
 現行制度では、義父母などの介護に対する見返りはない。だが、法改正後は「特別の寄与」が認められる。
「寄与」とは、介護などで尽くしたことをいう。貢献度に応じた金額を受け取れる。
 これまでも子供ら相続人には「寄与」という考え方があり、介護の度合いによって、相応の遺産を求めることができた。だが、相続人ではない、子供の配偶者には認められていなかった。
 法改正後は、相続人には含まれない「子供の嫁」なども特別寄与料が請求できる。寄与料を受け取るため、介護記録は取っておこう。

 ◇家を処分しなくても済む

 では、実践編に移ろう。

豊富な実務経験をもつ関根稔弁護士と佐藤正明税理士が解説する。
 配偶者居住権が新設されたことについて関根弁護士はこう語る。
「そもそも仲のよい家族であれば『お母さん、そのまま家に住んでください』と子供たちが言い、家から追い出すようなことはせず、丸く収まるのですが......」
 仮に遺産が評価額3000万円の家と預貯金500万円で、相続人が妻(配偶者)と子供2人であった場合、子供が遺産分割を望むと、現行制度では家を処分して現金化し、法定相続分として、妻は1750万円を受け取る。遺産の2分の1だ。
 一方、子供は各875万円ずつ受け取る。遺言書があった場合も子供は遺留分として、各437万5000円ずつが受け取れる。
 いずれにせよ、妻は住む家を失ってしまう。
「民法改正で、婚外子(婚姻届を出していない男女間に生まれた子供=非嫡出子)にも実子と同等の権利が与えられました。婚外子が相続分を主張した場合には、母親が自宅を追い出される事態も想定されます」(関根氏)
 自宅を別にしている子供の嫁などが「お義母さんには出て行ってもらって、平等に遺産を分けましょう」などと主張する可能性もあるだろう。
 だが、配偶者居住権が設けられるので、自宅を追い出される不安は解消される、というわけである。
 法改正後は、自宅の不動産価値を査定したうえで、居住権の価値も算出。それとは別に所有権は子供など配偶者以外の相続人が分割して所有する。
 前出の例であれば、妻(母)は自宅の居住権として1500万円相当分、子供は所有権として750万円相当分ずつ相続。預貯金は、母親が250万円、子供が各125万円を受け取れることになる。

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