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どうなる!? お得なふるさと納税が消滅危機

2018年10月 7日号

「ふるさと納税」が様変わりするかもしれない。野田聖子総務相は「制度は存続の危機にある」として見直しを表明。高額の返礼品で寄付を集める自治体を除外する地方税法の改正を検討するという。しかし、自治体や関係者の間では、思わぬ混乱が広がっていた。

 ふるさと納税に詳しい人物といえば、ノウハウを本に書いてテレビ出演もする実業家の金森重樹氏だろう。不動産業などで資産を築き、2013年からふるさと納税を利用してきた。同氏ほどの高額所得者になると、制度を利用して寄付できる金額は大きくなる。
 同氏が提供してくれた資料によれば、13年中の寄付額は石川県小松市への5000円を手始めに、計101の自治体に総額200万円以上。寄付するたびに自治体から「返礼品」が届いた。小松市からは「トマトカレー」1箱。1万円寄付した新潟県十日町市は「魚沼産コシヒカリ2・25キロ」、3万円の兵庫県三木市は「三田牛サーロインステーキ3枚」といった具合だ。
 ふるさと納税はその語感とは異なり、実際には寄付。自分の故郷かどうかにかかわらず、どの自治体に寄付しても適用される。制度を利用して自治体に寄付した金額は、所得税や住民税から減額される仕組みだ。手数料として2000円かかるが、金銭価値がある返礼品がもらえれば、かえって得するわけだ。ところが法改正が実現すれば、来年4月から返礼品が規制される。
 制度の見直しについて金森氏に取材を申し込むと、「それどころじゃありません!」と慌てた口調だ。なんでも野田総務相が9月11日、見直しを表明した直後からマスコミの取材が殺到しているという。「豪華な返礼品がなくなる」という思惑から、金森氏に「今からでも間に合うお得な寄付先」をリストアップするよう依頼してきたという。
「"還元率"が高い自治体に問い合わせたのですが、"お得な返礼品"を宣伝したくないという返事ばかり。政府から厳しい締め付けを受け、目立つとマズいという考えのようです」
 何が起きているのか。総務省が7月に公表した資料に、17年の寄付受け入れ額が多い市町村が載る。それを基に他のデータも加えて作成したのが次ページの表だ。トップの大阪府泉佐野市は16年の4倍近い135億円を集めた。12年度まで全国唯一の財政破綻の懸念がある「財政健全化団体」だった。所在する関西空港の開業に備えて道路など多額の公共事業をした結果、財政が悪化したという。それから5年、全国一の人気寄付先になっていた。
 表にある"還元率"とは寄付額に対する返礼品の価値のこと。総務省は「返礼割合」というが、制度利用者の間では還元率のほうが通りがいい。同省は「還元率を3割以下にすべし」との立場で、9月に3割超の246市町村を実名公表した。泉佐野市は50%という。
 総務省はもう一つ、「地場産品以外と考えられる返礼品」を送る235市町村も名指しした。その資料には、泉佐野市の返礼品として「ウナギ、その他海産物、すし......」などとある。
 地場産品でない返礼品を多くそろえ、還元率も高くしたのはなぜか。同市に問い合わせたが、「所管する部署の責任者は台風21号の被災現場に出払っている」と取材に応じなかった。
 2位は79億円を集めた宮崎県都農(つの)町。宮崎市の北40キロほどの日向灘に面する人口1万人少々の町だ。16年は町民や企業が納めた町税3億4361万円の14倍以上の寄付を集めたが、17年はさらに6割増えた。町ふるさと納税推進室に聞くと、「本格的に取り組んだのは15年と遅かったのですが、楽天で大きく伸ばせた」。
 楽天とはもちろんオンラインショッピングサイト「楽天市場」の運営会社。今年6月の同社会員数は9870万人にもなるという。
「楽天がふるさと納税の新サイトをスタートするタイミングで、そのサイトに返礼品の情報を載せました。当時、楽天に載る市町村は10ぐらいしかなく、都農町が目立ったのではないか。一時は楽天経由で寄付を申し込む人の割合が9割にも上りました。やはり楽天はパイが大きいと思いましたね」(同町担当者)

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