くらし・健康詳細

イチオシ
loading...

首都圏ブラックアウト 不都合な真実 

2018年9月30日号

大地震で北の大地は暗闇、そして経済活動ストップ!

 北の大地が暗闇に覆われた。北海道胆振地方を震源とする巨大地震は41人の命を奪い、全域停電「ブラックアウト」を引き起こし、530万人の生活に甚大な影響を与えている。3000万人が暮らす首都圏は大丈夫なのか。不安要因は地震だけではないようだ。

 電力業界では、供給エリア全域に電力を送れなくなることを「全系崩壊」あるいは「ブラックアウト」と呼んでいる。日本でこれまでなかった事態だ。9月6日午前3時7分の地震発生から間もなく、まさかのブラックアウトが起きた。地震で道内すべての発電所が損傷したわけでない。にもかかわらず、ほぼ全域で供給が止まった。何があったのか。北海道電力総務部は「一般論ですが」と断って、次のように説明する。
「電力を安定供給するには、供給量と需要量が常に均衡するようバランスを取る必要があります。当社なら周波数を50ヘルツに保ちます。しかし、一基でも発電機が止まると、その系統の周波数は下がってしまう。他の発電機が回転を上げて周波数を回復させようとするわけですが、そうした状態が続くと発電機が壊れてしまうのです」
 ブラックアウトを防ぐために、供給の系統ごとに切り離すなどの予防措置がとられる。当該のエリアは停電することになる。トカゲがしっぽを切って危機から脱するイメージだろう。ところが今回は全身がやられてしまった格好だ。同部は「なぜ全域で起きたのかは調査中です」と繰り返した。

 ◇危機一髪だった「1月23日」

 北電の当時の総発電量は約310万キロワット。主力の苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(厚真町)の最大出力は165万キロワットだ。その発電所が地震によって損傷し、突然止まった。発電量の最大53%を担う苫東厚真の停止がブラックアウトの引き金になった。

 首都圏で同じことが起きる恐れはないのか。今夏、東京電力の供給エリアで最も電力需要が高かったのは7月23日で、需要は5653万キロワット。運転中の発電所で最も出力が大きい富津火力発電所(千葉県富津市)の発電量は最大516万キロワットで、全需要の9%に過ぎない。首都圏の配送電を担う東京電力パワーグリッド(東電PG)の担当者はそんな数字を挙げ、北海道とは状況が違うことを強調した。
 しかし、異論もある。「首都圏は常に危機と背中合わせだ」と話すのは、コンサルティング会社、ユニバーサルエネルギー研究所の金田武司社長だ。東京工業大大学院のエネルギー科学専攻博士課程を修了後、三菱総合研究所でその分野の分析に当たってきた。今夏、その名もズバリ『東京大停電』(幻冬舎)を上梓(じょうし)、間一髪でブラックアウトになる危機があったことを指摘した。始まりは1月23日だった。金田氏は話す。
「東京に大寒波が襲い、電力需要は急上昇。今や東電の総発電量の1割を担う太陽光発電が頑張れば、なんとか持ちこたえるという状況でした。ところが、太陽光パネルに積もった前日の大雪が溶けない。東電の発電所をフル稼働しても需要に満たなかったのです」
 折あしく常陸那珂(ひたちなか)(茨城県東海村)や鹿島(同県神栖市)などの火力発電所で設備の不具合が発生、発電量が落ちていた。23日以降も危機は続く。資源エネルギー庁の資料によれば、電力のゆとりを示す「予備率」は東電の1月平均で12・6%。ところが25日には3・8%に落ち込んだ。〈安定供給に最低限必要とされる3%〉(同資料)に限りなく接近した。
「結局は中部電力や関西電力から融通してもらえる全量を使って、ようやく難を逃れた。これに失敗したらブラックアウトでした、間違いなく」(金田氏)
 東電PGは「逼迫(ひっぱく)した状況だった」と認めながらも、首都圏でのブラックアウトは想定しにくい、と説く。
「現に3・11の時もブラックアウトになっていないじゃないですか」(東電PG)
 元東電執行役で、電気料金比較サイトを運営する「エネチェンジ」の巻口守男顧問が解説してくれた。
「電力会社はブラックアウトが起きないようあらかじめ計画を作っています。3・11の時は発電量の急減に合わせ、強制停電することで使用量を減らしました」
 北海道電力がブラックアウトを防げなかったのは、シミュレーション不足だったのだろうか。

政治・社会

くらし・健康

国際

スポーツ・芸能

対談

  • 艶もたけなわ

    壇 蜜 タレント

    2018年9月30日号

    阿木燿子の艶もたけなわ/220   グラビアタレントとしてデビュー以降、バラエティー...

コラム